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ブログ・野口 誠一
第42回:倒産者に共通する性格第8条・強欲のために選択を誤る
2004年5月12日
倒産者に共通する性格の第8条は、「強欲」(そのために選択を誤る)である。
薬は適量に飲んでいる間は薬だが、過ぎれば毒となる。欲も常識の範囲にとどまる限り向上の糧なるが、過ぎたる「強欲」は身を滅ぼす原因ともなりかねない。何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、経営者はとくにそのことを自覚、自戒する必要があろう。
日本経済に「強欲」が定着したのはバブルのときである。
不動産・建設業界が先頭に立って土地バブルを煽り、製造業までが本業を忘れてマネーゲームに走り、株式バブルを煽った。それを背後で操り、無尽蔵に資金を提供したのが銀行である。
が、バブルははじけた。そして、濡れ手で粟をつかもうとした強欲企業から真っ先に潰れていった。そしていま、建設・不動産・流通の三業種は膨大な借金を抱えて倒産寸前、債権放棄や追い貸しでかろうじて命脈を保っているにすぎない。
一方、際限もなく資金を提出した銀行も、不良債権の山を前に茫然自失の体と言っていい。すべては過ぎたる欲に目がくらみ、選択を誤った結果である。
問題は、バブルがはじけて十余年にもなるのに、企業に染みついた強欲体質がいっこうに払拭されないことである。それは相次ぐ企業不祥事が語って余りある。古い牛乳を流通させて集団食中毒事件を引き起こしたり、原発のトラブル隠しや牛肉の偽装事件も、すべては過ぎたる利益追求の姿であり、企業が強欲に振りまわされた姿と言っていい。そこが強欲の怖いところであり、江戸の川柳にも、「登っても峠を知らぬ欲の道」とある。
中小企業の経営者が最も警戒を要するのがこの強欲である。
強欲は会社を金儲けの手段、従業員をその奴隷としか見ないからである。
そして、その先に待っているのは間違いなく倒産であろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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