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ブログ・野口 誠一
第45回:倒産者に共通する性格第11条・反省心の欠如
2004年5月21日
倒産者に共通する性格の第11条は、「反省心の欠如」である。
反省は成長と向上のビタミンであり、このビタミン不足に陥った経営者は、遅かれ早かれ倒産を余儀なくされる。
八起会はそうしたビタミン欠乏患者の集まりと言っていいが、その患者に根気よくビタミンを注入し、再起を促す病院でもある。が、全快して退院できる患者は2、3割程度に過ぎない。「反省」はそれほど難しいということでもある。
江戸の川柳に「無理な意見はたましいを入れ替えろ」とあるが、真の反省はこの「魂」を入れ替えるに等しい。昨日までの自分のあやまちを認め、明日から別人になることを意味するからである。
が、これが実に難しい。倒産して地位、名誉、財産、人間関係まで失いながら、なおかつ反省できない患者が少なくない。だまされた、裏切られたと恨んだり、ああしておけばよかった、こうしておけばよかったと後悔するばかりでは、明日は見えない。本当はだまされやすい自分の体質や決断力、実行力のなさに気づき、認め、それを克服していくのが真の反省であろう。
わが会員に、見事に再起を果たした経営者がいる。彼は計数管理が苦手で、経理関係をすべて他人任せにしたことが原因で会社を潰したが、その後がすさまじかった。昼は土方仕事で糊口をしのぎながら、夜は簿記学校に通って苦手の計数をマスターし、ついに同じ業種で再起を果たした。そしていま、彼の会社は順風満帆である。
デフレ時代は淘汰の時代でもある。自分の弱点に気づき、それを克服していかなければ負け組を免れない。すなわち、中小企業経営者にとって「反省心の欠如」は致命傷となろう。「後悔先に立たず」というが、反省は先に立つ。むしろ、転ばぬ先の杖ならぬ「知恵」とも言えよう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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