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ブログ・野口 誠一
第70回:危ない経営者第5条・夢やロマンのない経営者
2004年8月3日
「危ない経営者10カ条」の第5条は、「夢やロマンのない経営者」である。
「人はパンのみにて生くるにあらず」と聖書は教えている。
人間の成長には精神的な糧も必要だ、という意味であろうが、夢やロマンもその一つと言っていい。
夢やロマンのあるところには、努力も充実も成長もある。
何よりも、夢・ロマンのある人は輝いているものだ。
経営も同様である。
倒産しなければいい、利益が上がっていればいい、というのでは充実も成長もない。
企業は伸ばしていくものであり、それによって社員も経営者も成長していくのが理想である。
「経営者よ、夢を持て」というのもそのことにほかならない。
私は常々、経営者に必要な能力の1つに「巻き込み」能力がある、と言っている。
いくら経営者が個人的に夢を持っていても、それを語れなければ意味がない。
また、語っただけでも意味がない。
その夢に社員はもとより、取引先や関係者まで巻き込み、一致協力して夢の実現に邁進し得る体制をつくり上げなければならない。
それが巻き込み能力である。
そのためには、本社ビルを建てたいなどというケチな夢ではなく、周囲を丸ごと巻き込んでその気にさせる壮大な夢でなければならない。
そしてその視線は常に社会、消費者の方向を向いていなければならない。
さらに大事なことは、その夢が実現したとき、会社がどのような社会的ステータスを得ているか、社員はどのような待遇と社会的評価を受けているか、そのヴィジョンも示さなければならない。
むろん、そのヴィジョンに期限目標と数値目標が必要であることは言うまでもない。
すぐれた経営者は夢見る人ではない。
夢を描き、語り、巻き込み、そして実現する人である。
松下幸之助も、ホンダの本田宗一郎も、京セラの稲盛和夫も、みなそうした経営者である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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