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ブログ・野口 誠一
第72回:危ない経営者第7条・経営環境を読めない経営者
2004年8月9日
「危ない経営者10か条」の第7条は、「経済環境を読めない経営者」である。
経済環境は日々刻々と変わっていく。ある日アメリカがイラクへ攻め込めば、地政学的リスクが高まって原油が高騰する。中国の経済発展は喜ばしいことだが、その結果として世界中の資源が中国という巨大なブラックホールに吸い込まれれば、やはり高騰を免れない。事実、日本の企業物価はジワリ上昇している。が、デフレの壁が厚く、まだ消費者物価には及んでいない。その分、企業は苦しい経営を強いられている。
一方、今回の景気回復をリードしたデジタル関連も、そろそろ過剰投資に陥りつつある。輸出はアメリカと中国の景気に支えられていまのところ堅調だが、金利と為替の動向次第では楽観を許さない。経営者はこうした経済環境に合わせていくだけでも大変なのに、さらにその先を読んで布石を打っていかなければ生き残っていけない。
ただ、変化には必ず予兆がある。その予兆をどれだけ感度よくスピーディーに捉えられるかが、勝ち残る経営者の条件となろう。私は目下、CSR(企業の社会的責任)とSRI(社会的責任投資)がその予兆のキーワードではないかと考えている。CSRは企業がどれだけ法令順守や環境、人権に配慮しているかを問うものであり、その度合に基づいて投資先を選定するのがSRIである。すでにSRIファンドは次々に設定されており、人気も上々である。つまり、CSRに取り組む企業ほど株価と企業価値が高まっていく構図である。その余波は中小企業にも及びつつある。すでに大企業は下請けや協力企業にもCSRを押しつけ始めたし、環境保全に不熱心な中小企業とは取引をストップする動きすらある。大企業単独ではCSRを高められないからであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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