-
ブログ・野口 誠一
第75回:危ない経営者第10条・経営理念・方針のない経営者
2004年8月18日
「危ない経営者10か条」の第10条は、「経営理念・方針のない経営者」である。
経営理念というと、大抵の経営者が身構える。そして難しく抽象的に考える。実際、そういう経営理念には事欠かない。「社会貢献」「顧客満足」「良き企業市民」などがその類である。いずれも立派な理念だが、ただのスローガンであっては意味がない。企業の体質にしっかりと根付き、社員の行動に反映されてこその経営理念であろう。
私は常々「経営理念をこむつかしく考える必要はない」とアドバイスしている。たとえば、人間は誰しも夢や目的を持って生きている。その実現のために努力している。企業とて同じこと、事業をもって何かを実現したいがゆえの経営であろう。ならば、その実現したい何かを理念とすればいい。そのほうがより血の通った理念となろう。
では、経営理念がなぜ必要かと言えば、それが経営者と社員を結ぶ紐帯となるからである。経営者は「全社一丸」という言葉が好きだが、これは非常に難しい。経営者と社員では、視線の方向がまるで違うからである。それは、給与を支払う側と受ける側の違いにとどまらない。通常、経営者は社員に死に物狂いで働いてもらいたい。が、社員のほうは楽をしたいに決まっている。そのギャップを埋めるのが経営理念である。
経営者も社員も、消費者の支持を失えばたちまち利益も給与もふっとぶ、という点では運命共同体である。経営理念はその基本をしっかり押さえたうえで、社員の士気、意欲、働き甲斐、働く喜びを引き出すものでなければならない。この理念がないと、社員はたちまちサラリーマン病におかされていく。そういう社員を抱えては、中小企業は1日ももたない。社員のモチベーションを高める、それが経営理念である。この記事へのコメント
-
-
-
-
筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
「ブログ・野口 誠一」の 月別記事一覧
-
「ブログ・野口 誠一」の新着記事
-
物流メルマガ