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ブログ・野口 誠一
第79回:倒産する人・しない人15か条 売上至上主義か否か
2004年8月30日
「倒産する人・しない人15か条」の第2条は、「売上至上主義か否か」である。
大ざっぱに言って、日本が世界第2位の経済大国を実現できたのは、日本株式会社が売上至上主義に徹したからである。ダンピングだ、不当廉売だと批判されながらも、利益よりシェアの拡大を目指し、世界市場を席巻したからである。
しかし、冷戦が終わってグローバル市場が出現したところへバブルがはじけ、日本経済は10年以上にわたって低迷を余儀なくされた。なぜか。グローバル市場が必然的にもたらすデフレ時代に、もはや売上至上主義が通用しなくなったからである。
かつて日本株式会社に成功をもたらした強味は、「シェア拡大」「自前主義」「規模のメリット」の3点セットだった。それがグローバル市場の出現とともに弱味へ転じていく。なぜなら、グローバル市場で勝ち組となるには「利益」「効率」「特化」の3点セットが求められるからである。同じ3点セットでも前者と後者では180度の違いがある。その180度を克服するために七転八倒したのが「失われた10年」の姿であろう。
しかし、その甲斐はあったと言っていい。「雇用」「設備」「債務」の3つの過剰を解消すべく、リストラに選択と集中、M&Aにアウトソーシングとがむしゃらに構造改革を進め、余剰資金とキャッシュフローをせっせと有利子負債の返済に充てていった。そしていま、デフレ下でも利益を生み出せる体質となり、グローバル市場で対等に闘える態勢が整ったのである。
この過程は中小企業にとって大いに参考になる。私は常々「不振時の売り上げは好調時の8割でよしとせよ」と言っているが、それは8割に甘んじなさいということではない。8割でも利益の上がる体質をつくりなさいという意味である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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