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ブログ・野口 誠一
第80回:倒産する人・しない人15か条 金利計算ができるか否か
2004年9月2日
「倒産する人・しない人15か条」の第3条は、「金利計算ができるか否か」である。
八起会へ相談に見える経営者のなかで、どのようなタイプが倒産するかしないかを見分ける方法が2つある。1つは、会社の帳簿を持参してきたかどうかである。帳簿がなければ、こちらとしても判断のしようがないし、具体的なアドバイスもできない。経営相談といいながら、結局は一般論、抽象論にならざるを得ない。経営はどこまでも数字である。その数字を持ってこないというのは、経営に取り組む姿勢、熱意を疑われても仕方がない。
もう1つは、彼らに「借入金はどのくらいありますか」と尋ねることである。すると、はっきり数字が返ってくるタイプと、「1億か2億ぐらいでしょう」とアバウトな答えが返ってくるタイプに分かれる。前者はまず大丈夫だが、後者は倒産要注意である。同じ借金でも1億と2億では倍も違う。5%の利率としても、金利だけで年間500万円もの負担差が生じる。そんなアバウト経営が長続きするはずもない。「金利計算ができるか否か」が倒産の分かれ目となるゆえんである。
モノが売れない、モノの価格が上がらない、そんなデフレ時代の最大のタブーは借金である。金融機関がデフレ率に連動して自動的に金利を下げればいいのだが、そうは問屋が卸さない。この10有余年、大企業が猛烈なリストラをかけ、売れる物件はすべて売り尽くし、借金の返済を最優先したのもそのためである。こうして金利コストを大幅に減らした結果、昨年度の設備投資は12%強と増大したにもかかわらず、その金額はキャッシュフローを大きく下回っている。
「金利計算ができるか否か」というのは、単純な計算の問題ではない。借金コストに対する敏感さ、借金経営に対する危機感、その意識の問題である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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