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ブログ・高橋 聡
第195回:令和時代の運送業経営 運送原価管理編(1)
2021年4月18日
【運送原価管理編】①
「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウィルス影響下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今回は経営管理上重要な「運送原価管理」について解説します。運送原価を分析すると、その会社の問題点、課題が明らかになります。運送業は利益率が低く運賃競争により収益力が原価管理によって左右されるため原価管理は重要です。
1.標準的な運賃
①標準運賃告示
令和2年4月に国土交通省から標準運賃告示が発表されています。令和6年度からの時間外労働上限規制を踏まえたものである、とされています。
運賃タリフは「距離制」「時間制」に区分されています。「距離制」標準運賃としては、例えば関東/100キロの場合、(中型)4トン車が「3万7000円」、(大型)10トンが「4万7670円」とされており、「待機料」「高速料」「燃料サーチャージ」等は別途収受できることとされており、業界では「意欲的な運賃」との評価でした。また、「荷主勧告制度の強化」「国交大臣による荷主への働きかけ」等も盛り込まれ、期待されていました。
しかしながら、コロナ禍において状況は一変し標準運賃が有名無実化しました。
②運賃収入、労務費率の現状
コロナ禍で特にBtoB領域の「物量」が減少しています。BtoC領域は横這いか増加している場合もありますが、4トン車、月間5000キロ前後走行する車両の運賃収入は70万~90万位、10トン車は月間1万キロ前後走る車両で月間100万~140万前後になっています。標準告示運賃タリフが機能していれば、概ね1.5倍以上の収入増となる見込みでした。
2.労務費率の管理
「ドライバー不足」の状況の中で、「給与」「法定福利費(社会保険料)」を合わせた「労務費」をどのように管理していくか、が問われています。4トン車では45%以下、大型では38%以下が労務費率の標準値ですが、運賃収入の下落に伴い標準値より高い水準となっている会社も少なくありません。 -
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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