-
ブログ・高橋 聡
第196回:令和時代の運送業経営 運送原価管理編(2)
2021年5月2日
【運送原価管理編】②
「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウィルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今回も前回に続き経営管理上重要な「運送原価管理」について解説します。コロナ禍において特にBtoB領域の物流では運賃収入の減少となっている現状であり、燃料費、修繕費、労務費等の原価を管理することの重要性が高まっていると言えます。
1.運送原価管理
⑴中型・地場運行車両
4トン車、月間5000キロ走行の車両について、その車両の月間運賃収入を100とした場合の標準原価は概ね表1.の通りとなります。運賃収入には傭車収入を含めず自社車両の売り上げのみを100とします。会社によっては車両購入、入れ替えを積極的に行った結果、減価償却が大きくなっている会社もあります。燃料代は相場に左右されますが概ね14%~18%で推移しています。
修繕費は地場運行車両でも長距離運行車両でも4%~9%程度以下に管理していく必要があります。修繕費が高い会社は「事故が多い」「点検、整備にコストをかけすぎている」可能性があるので要注意です。
地場運行車両では、労務費は社会保険料込みで45%以下に抑えていかなければ利益がでないでしょう。
⑵大型・長距離系車両
大型車で月間1万キロ前後走行する長距離運行の車両であれば燃料費が25%~30%、高速料が10%~15%等となり、労務費は「38%以下」程度に管理していかないと利益が出ないでしょう。2.ドライバー、経営者の人件費
社長や役員の給与は販売管理費に入っていますので、利益額を直接コントロールすることとなります。コロナ禍の現状では役員報酬も含めて利益管理していく必要があります。労務費は最大の運送原価項目ですがドライバーの生活原資でありドライバー不足の現状で管理が難しい項目です。最終利益率は社長の給与(役員報酬)をどの水準で取るかによって左右されますが、多くの会社の現実の数値としては1~2%程度で、自社車両の売り上げのみでは赤字になっている会社も少なくありません。
運送原価を数値、データで確認することで、会社としての重要課題、対策を検討すべき課題が見えてきます。燃料代や高速料を数%改善することがいかに重要であるか、がよくわかります。まずは、標準原価と自社の数値を確認下さい。
-
-
-
-
筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
「ブログ・高橋 聡」の 月別記事一覧
-
「ブログ・高橋 聡」の新着記事
-
物流メルマガ