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ブログ・高橋 聡
第214回:令和時代の運送業経営 新春特別号(1)
2022年1月22日
【新春特別号】①
新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今号では2022年のスタートにあたり新春特別号として運送業経営者が直面する課題として、「2024年問題を考える」というテーマを解説してまいります(その1)。
1.2024年問題とは
(1)働き方改革関連法
2024年4月に「運転職」に対する時間外時間数の上限規制が強化され、年間960時間(休日労働含まず)の法的規制が適用されることに加え、2023年4月から月60時間超の時間外労働の割増率が125%から150%に引き上げられることが予定されており、対応が急務となっていることなどを総称して「2024年問題」と呼びます(960時間規制に関する月毎の上限時間制限などの詳細は現時点では不明です)。 現状でも36協定において届け出の時間数を超過した場合、違反となりますが、「特別条項」により事実上、上限のない規制となっていたものが、法規制に格上げされ罰則対象(6か月懲役もしくは30万円)となることの意味は大きいと考えます。(2)複合的な要因
最低賃金は今後も引き上げが継続、月60時間超割増率(125%→150%)引き上げ、未払い残業請求時効の期間が延長(2023年4月から3年分請求が可能)となり、改善基準告示(拘束時間規制)に関し、時間数短縮の方向で改正が議論されています。元から慢性的なドライバー不足、ネット・SNSなどの影響で未払い残業請求などの労務トラブルが多発している要因も複合的に関わってくるため、2024年問題が運送業経営に与える影響が大きくなります。2.2024年問題の影響
(1)残業上限規制の影響
例えば、月1万km位走行する「長距離運行」においては月100時間を超過する時間外労働、地場運行においても月6万7000km程度を走行する車両の残業時間は80時間を超過するケースもあるため、規制対象となります。年間960時間というと月間平均80時間で、ある程度のキロ数を走る車両の場合は規制対象となってきます。(2)「給与の変更」の必要性
対策として、「1人当たり残業時間数」を短縮するために「増員」が必要になりますがコスト面の制約から容易ではありません。また、時短によりドライバーの給与が減少することになることはドライバーの離職を促すため、難しいでしょう。元から給与は原則として減額することはできません。そこで「給与を変更する」ことが唯一の手段として必要になると考えます。関連記事
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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