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ブログ・高橋 聡
第168回:働き方改革への対応(時間外労働の上限規制(4))
2020年2月25日
今年から働き方改革関連法が施行されています(【図1】)。
そこで、働き方改革関連法への対応というテーマで法改正への具体的な対応策について解説してまいります。
今回は前回に続き、(時間外労働の上限規制)への対応について説明します。
前号で、まずは経営者、管理者が時間外労働規制に関する「意識」を改革する重要性について説明いたしました。ドライバーの出庫時間を管理し「休憩」を正しく認識し労働時間の把握を進め、時間外労働時間数の削減を図ることが大切です。
さて、労働時間は「拘束時間―休憩時間」で計算されます。拘束時間は「出庫」から「帰庫」までの時間となりますので「休憩」の把握が重要であることは言うまでもありません。「休憩」についてですが、運送業は一斉休憩の適用除外業種であるので、細切れに「休憩」をとることが認められています。例えば、改善基準告示で連続運転4時間後に30分の運転離脱(「休憩」)を取ることが義務付けられていますが、この30分「休憩」は連続運転時間の途中に10分ずつ細切れに取得することも可能です。
このような5分、10分の細切れの「休憩」時間を、いかにして把握するかが、今後の働き方改革関連規制への対応として重要となってきます。
さて、ドライバーの「休憩時間」を把握するためには、デジタコの活用が不可欠です。GPS機能の付いたデジタコでコンビニに停車している時間や高速道路のSA(サービスエリア)に停車している時間、トラックステーションに停車している時間などを把握します。デジタコも「拘束時間」ベースではなく「労働時間」の把握ができるタイプのデジタコがお薦めです。早めに出庫して「仮眠」をとるドライバーが多いですが、「仮眠」も休憩時間として認められるでしょう。
このような、きめ細やかな管理をデジタコなどのIT機器を活用して実施していくことが求められます。ドライバーの業務は運転時間以外に荷主のセンターなどで「待機」する時間や「積み込み」「積み下ろし」などの「作業」時間など付帯時間が多くあります。「休憩時間」と認定されない場合は、「手待ち時間」「待機時間」「作業時間」などの労働時間として分類されることとなり、時間外労働の削減ができないこととなります。最近では休憩ボタンを押すと車内カメラが切れる機能のついた「ドラレコ」や一定時間スピードが「ゼロ」の場合は「休憩」となり「待機」などの場合には、改めてボタンを押すタイプのデジタコも出ています。出庫後の管理が難しいドライバーの時間管理については「デジタコ」「ドラレコ」などを利用して、正しく把握することが求められます。デジタコ装着義務のない軽貨物車両や2㌧、3㌧車についても「デジタコ」を装着すべきではないでしょうか。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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