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ブログ・高橋 聡
第171回:働き方改革への対応(時間外労働の上限規制(7))
2020年4月7日
今年から働き方改革関連法が施行されています(【図1】)。そこで、働き方改革関連法への対応というテーマで法改正への具体的な対応策について解説してまいります。
今回は前回に続き、(時間外労働の上限規制)への対応について説明します。
2020年4月から中小企業を対象とする時間外労働の上限規制(罰則付き)が開始されます。運転職は2024年4月に実施が猶予されていますが、運転職扱いになるのは労働時間の過半を運転業務に従事している場合とされていることに留意する必要があります。運転業務を行う管理者や倉庫作業と運転業務を兼務する社員については、どちらの規制の対象となるか、確認しておくべきです。
さて、管理者、倉庫作業員、事務職の時間管理については「勤怠管理システム」の活用が有効です。「勤怠管理システム」には時間外労働に関する「申請・承認」機能が設定されている機器が多くリリースされています。
時間外労働を実施する必要があるかどうかは、会社が判断すべき事項であること、時間外労働を実施する場合は、必ず事前に申請を行い、承認を受けてから実施すること、承認がない場合は時間外労働割増賃金の対象から除外される場合がある、という考え方です。
運転職は運行指示に基づき出庫から帰庫までの時間をデジタコを活用して管理することが必要であることを説明しましたが、運転職以外の一般職種については2020年4月から始まる規制への対応として、時間外労働の「申請・承認」ルールを徹底することが必要となっています。事務員でも倉庫作業員でも時間外労働の管理が出来ていない場合は長時間労働となり法違反となってしまう可能性があります。
今後、会社・管理者は時間外労働を指示して仕事を進捗させるべきか、上限時間数に近づいてきたので他の社員に代替えするなどの対応策を講じるべきか、月の途中や月末に判断する必要があります。その場合に、紙ベースの帳票だと集計管理に限界があります。また、外出業務を行う社員が直行・直帰で業務にあたる場合などにも従来型の「タイムカード」では難しいでしょう。直行・直帰の場合、現地で業務を開始・終了した時刻を始業・終業とすべきですが「タイムカード」では把握ができないからです。
「勤怠管理システム」はGPS機能が設定されている機器が多く、離れた場所にある倉庫などでの時間管理も可能ですし、移動に費やす時間や業務に費やす時間、休憩している時間などを把握することができます。
時間外労働時間数の集計、月中時点での把握、有給休暇の申請・管理だけでなく、異動や人事プロフィール管理、給与計算の機能など等、人事管理全般の業務に対応できるタイプの機器が今後増えていきます。運転職のデジタコ・ドラレコ同様に管理・倉庫・事務職には「勤怠管理システム」の活用が有効です。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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