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ブログ・上西 一美
第20回:人間はイレギュラーが起こった時に思わぬことをやってしまう
2020年3月23日
2019年は沢山の交通事故が発生しました。中でも印象深かった事故の1つ、今回は池袋の暴走事故について話をしたいと思います。
昨年4月に起こった事故で、多数の死傷者が出ました。事故から約半年が経って、運転手の男性は「自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)」で書類送検になりました。
事故当時、運転者が80代だったことで高齢者という言葉が多用され、「高齢者の事故」として多くのマスメディアが取り上げました。
しかし、これを「高齢者の事故」という括りにしてしまうのは、非常に危険なことだと僕は思います。
そう言ってしまうことで、どこか他人事になってしまう、自分はまだ高齢者ではないから、こんな事故は起こさないと思ってしまう訳です。
だけど、事故の原因でもある「ブレーキとアクセルの踏み間違い」というのは、高齢者だけがしてしまうことではありません。
僕の知り合いの19歳の子が、踏み間違いでコンビニに突っ込んでしまったことがありました。
若年者でもアクセルとブレーキを踏み間違えることがあるのです。
話は変わりますが、先日出張で長﨑に行った時に、思わぬ行動を取ってしまったことがありました。
電車の発車時刻まで5分くらいしかなかったのですが、飲み物を買いたかったので駅のコンビニに入ったのです。
レジで支払いを済ませた時点ではまだ少し余裕はあったのですが、その後に問題が起こりました。切符が見当たらなかったのです。ポケットもカバンの中も探したけれど見つからない。結局、コンビニのレジに置き忘れていました。
レジで切符を受け取った時には発車時刻まで残り1分。急いで階段を駆け降りたら、線路を挟んだ向かいのホームから僕が乗るはずだった電車が発車したのが見えました。
降りる階段を間違えたのです。普段なら絶対にやらないことです。でも慌てていて余裕がなかった。人間はイレギュラーが起こった時や慌てた時は思わぬことをやってしまう。
交通事故もそうなのです。踏み間違いもすぐにブレーキを踏みなおせば事故は防げるかもしれません。
しかし、間違えたことで慌ててしまい、自分でも予想外の行動を取ってしまい、事故が拡大してしまうケースもあるのです。
自分にも起こり得る事故だということ、してしまう可能性がある行動だという意識を持つ必要があります。
池袋の事故からそういう可能性が自分にもあることを学んでほしいと思います。
「やってしまうかもしれない」という意識が、ある種の注意喚起となって誤操作を防ぐ。自分事と捉えることが事故防止の第一歩なのです。
私たち一般社団法人日本事故防止推進機構(JAPPA)では、毎月、ドラレコ映像を使ったDVD教材を配布しています。
ドラレコ映像を見ることが、この自分事への置き換えに繋がると信じて活動していますので、ぜひ皆様の会社でも、自社のドラレコ映像があれば活用し、なければ、私どものような組織をご活用ください。
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筆者紹介
上西 一美
一般社団法人日本事故防止推進機構理事長、株式会社ディ・クリエイト代表
自動車事故防止コンサルタントとして豊富な実績。
一般社団法人日本事故防止推進機構
http://www.jappa.or.jp/
株式会社ディ・クリエイト
http://www.de-create.com/ -
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