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物流ニュース
物流業界におけるSDGs 企業価値の向上へ
2020年12月29日
最近、テレビのニュースや情報番組などでよく耳にするようになった「SDGs」という言葉。外務省のホームページによると、「SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』に記載された、2030年までに持続可能で、よりよい世界を目指す国際目標」と紹介。具体的には17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の『誰一人取り残さない』ことを誓っている。17のゴールには、「貧困をなくそう」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「働きがいも経済成長も」などがあり、我が国の多くの大手物流企業もその趣旨に賛同し、取り組みを始めている。中小運送事業者も、「大企業が取り組むもの」と目を背けず、身近なことからでもSDGsの目標達成に貢献できる行動を考え、ビジネスチャンスにつなげたり、企業価値を向上させてみてはいかがだろうか。
SGホールディングスは今年10月、SDGsに関する取り組みをまとめた冊子「SDGsコミュニケーションブック2020」を発行した。同社グループは、中期経営計画の重点施策に「社会を支える物流企業としてSDGsへの貢献」を掲げ、事業を通じた社会課題の解決に取り組んでおり、同冊子では、例えば『目標3』の「すべての人に健康と福祉を」で、佐川急便の営業所で実践されている、安全意識を常に高く保つ体制や仕組みについて、従業員のインタビューや営業所の1日の流れをもとに紹介。『目標13』の「気候変動に具体的な対策を」では、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして、EVトラックの試験導入や業務用電動アシスト自転車などを紹介している。
また、ヤマトホールディングスは「SDGsで示された、世界が抱える喫緊の社会課題の解決に向けて、ヤマトグループも事業を通じて取り組んでいく」と宣言。今年1月に発表した経営構造改革プランの中で、「2030年までに働きやすく誇りを感じられる職場の実現によりディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の達成に貢献」という目標を掲げ、それにより創出する価値として「社員のワーク・ライフ・バランスの実現」「社員の身体的・精神的に健康な生活」「適切な労働力確保、安定的な事業継続」「業界における望ましい労働モデルの提示」を挙げている。
アートコーポレーションもSDGsの趣旨に賛同し、ゴミゼロの引っ越しをめざして、紙資源を使わないエコ楽ボックスシリーズの開発、ダンボールのリユース(再利用)を推進。さらに業界初となる定休日を設けるなど、働きやすい環境づくりを進めている。
一方、大手物流企業以外でもSDGsに取り組む動きが出始めている。奈良県大和郡山市の川端運輸・川端章代社長は、今年の経営計画発表会でSDGsを実践することを発表した。川端社長は、「コロナウイルス感染拡大で人々の生活は一変した。これから必要となるのは、一人が頑張っていくのではなくて、それぞれの役割と責任を果たしながら、自分の仕事の収支バランスを理解して、仕事の技術を磨くことに日々努力を積み重ねていくことだと思う」と強調。「会社も個人の生き方も、自分のことだけでなく地球に、社会に、地域に、職場に、どのように関わっていくかを理解することが大切」と訴える。
SDGsについて川端社長は、「知っているのと、知らないのでは大違い。普段していることでも、SDGsにつながっていることがある。例えば、紙パッケージ商品の購入や、エコバッグを持ち歩くことなど、一人ひとりの行動が地球環境の改善につながる」と言い切り、「これから先、ウイルスと共に生きる時代を、業態を変えるチャンスと捉えて、環境にも身体にも悪いモノは買わない・使わない運動を推進していく。便利さや価格の安さを求めることが、地球環境を壊していくことを従業員が理解するよう、社内教育でも発信している。少しずつではあるが浸透してきているのではないか」と、ニューノーマルの世の中を見据えた取り組みを進めていく姿勢だ。
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