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物流ニュース
荷主都合の荷待ち時間 難しい労働時間改善問題
2013年2月8日
コンプライアンスの徹底が求められる中で、労働時間の短縮が喫緊の課題となっているトラック業界。高速道路の活用など、労働環境の改善に積極的に取り組む事業者がいる一方、改善できずに苦しむ事業者の存在も少なくない。食品輸送を手掛ける埼玉県の事業者は、荷待ち時間という、自社の取り組みだけではどうにもならない大きな障壁を前に立ち往生し、半ば白旗を挙げている。
同社は毎日、荷主の物流センターで荷物を積み込んで関東エリアへの配送を手掛けているが、物流センターでの積み込みには必ず待ち時間が発生している。同社社長によると、「待ち時間は1〜2時間は当たり前で、酷いときには4時間以上も待たされることもある」という。物流センターには、同社のように出庫のためにやってきたトラックが長蛇の列をなしており、積み込みが遅々として進まないようだ。
「早く積み込みを行いたいなら、それだけ早くセンターへ行かなければならない。そうなるとドライバーに早出を頼まないといけない。遅く行けば、それだけ待ち時間も長くなり、無駄な時間が生じてしまう」と、同社長は嘆く。
荷主に改善を求めたいのだが、荷主にとって数ある取引会社の一つに過ぎない同社から求める立場にはない。文句を言えば仕事がなくなるだけだ。待ち時間はリーマン・ショック以降、徐々に増えてきている。「以前は待ち時間が少なくスムーズな出庫だった」と指摘するが、その原因は、〝物流コスト削減〟という荷主側の都合も垣間見られる。
物流センターには、出庫のためのスタッフがおり、フォークリフトの運転や積み込み作業を行っている。リーマン・ショック以降の景気低迷で、人数が明らかに減少している。そのため、出庫にやってきたドライバーがフォークリフトを運転して積み込みを手伝うのも当たり前になってしまった。「出庫の効率は、どんどん悪くなっていった」と、同社長は話す。
「自社で努力し何とかなるのであれば、ドライバーのためにも労働時間の改善は図りたいが、現状を考えるとどうにもならない。今は行政の監査が入らないよう祈るしかない」とこぼす。
物流合理化の大号令のもと、物流コスト削減に乗り出す荷主に対し、しわ寄せを受け運賃低下や無料奉仕を迫られる物流事業者の姿が目立つ。「トラック事業者だけに労働時間の改善を求めるのは、臭いものにフタをしているだけで、トカゲの尻尾切りだ。決して根本的な改善につながらない。行政には、こうした環境を理解した上で現場の総合的な改
善を図るよう促してもらいたい」と訴えている。この記事へのコメント
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