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    突風が大型トラックのウイング破壊 予期できない事故も

    2024年2月28日

     
     
     

    前年比43%増の計30回発生――。ゲリラ雨や局地的豪雨が〝異常〟でなくなるなど、近年の気候変動で突風による被害も各地から届く。飛来物などによる事故に遭わない行動が求められるが、場合によっては突風対策を講じなかったとして加害者側に回る可能性もある。義務化された屋外看板の定期点検の見落としもその一つだが、ちまたで〝ドアパンチ〟と呼ばれる自動車ドアを開閉する際のトラブルも要注意。岡山県の運送会社では昨年末、作業のために広げた大型トラックのウイング(側面部)が突風にもっていかれるという災難に遭った。

     

    「とにかく突然のことだから対策といっても…。注意するように話すくらいしかない」と、一瞬の出来事で新車から日の浅い大型車が大きなダメージを被った当時の様子を説明する岡山の社長。人的な被害がなかったのが幸いだった。

    一方、「突風が発生しやすい地点もあり、風速予報も確認している」と話す同県北部の運送経営者は、あわや〝ドアパンチ〟をマイカーで経験。隣に車がなかったことでぶつけずに済んだが、降車時に強風であおられたドアは「開くはずのないところまで開き切ってしまった。ドライバーにも注意している」と苦笑する。

    竜巻の昨年の発生数は12回と前の年に比べて3回少なかったが、ダウンバースト(下降気流が地表に衝突して水平に吹き出す激しい空気の流れ)とガストフロント(重みで冷たい空気の塊が温かい空気の側に流れ出す)は同3倍の計18回。いずれも積乱雲によって発生する、いわゆる突風。近年の局地的豪雨も同様に積乱雲の仕業だ。

    気象庁のデータ(1991~2023年の発生数)によれば、都道府県別の竜巻発生の最多は北海道と沖縄(全島)の51回で、次いで高知が42回。宮崎(32回)と秋田(30回)も平均すれば毎年発生している計算だ。一方、昨年に急増したダウンバーストとガストフロントは栃木が最多で32回、次いで群馬25回、埼玉15回(4位)と北関東の内陸部に集中する。

     

    こうした暴風は、ときに予期できない事故を招く。札幌市で2015年2月、ビル4階の外壁に取り付けた看板が落下し、歩行者の頭部を直撃する重大事故が発生。取り付け部分が腐食しており、当時の強風で落ちた可能性が指摘された。2018年10月には横浜市中区で、9階建てビルの屋上付近から装飾用パネル4枚が落下。下を歩いていた男性を直撃、男性は死亡した。

     

    近いところでは昨年11月20日、東京都江戸川区にあるJR駅前の交差点で、信号機に取り付けられた重さ約3キロのアルミ製の標示板が落下して女性が負傷。事故後、区内の150地点で落下の危険性を確認する緊急点検が実施された。

     

    老朽化した屋外広告物の落下事故が続くなか、国交省は点検の実効性を高めるために2016年4月、屋外広告物条例ガイドラインを改正。関連条例を備えた都道府県や一部の市町では施行時期にばらつきがあるものの、屋外広告士や建築士(1・2級)、電気主任技術者などの有資格者による定期的な安全点検を義務化し始めた。

     

    突風でトラックのウイングを折り曲げられた運送会社がある岡山でも一昨年10月から施行。適用除外だった面積の小さな自家広告も「地上から広告物または、掲出物件の上端の高さが4mを超えるもの」(建築物の壁面に直接塗装された物や張り紙は除く)であれば、すべて有資格者による点検対象となった。

     

    一方、2012年5月に茨城県などで発生した竜巻の被害(死者1人・負傷者52人、住宅全壊89棟・半壊194棟)を受けて組織された検討会が同年7月、竜巻などの突風情報の改善を提言。昨年3月に開かれた12回目の会合では出席者から「竜巻注意情報はリードタイムが少なく、突風が発生しやすい気象状況で準備し、注意情報が発表された場合にすぐ行動に移せる判断が必要」といった意見も出ている。

     

    車両の運行をはじめ屋外での作業が多いトラック事業は、常に突風によるリスクにさらされている半面、車体パーツや社屋周辺に設置した屋外看板が飛来物となり、場合によっては加害者となる恐れもある。対策を講じにくい問題だが、近年の気候変動を踏まえ認識を変える必要があるのかもしれない。

     

    走るか、止めるのか 国が示す荒天時運行

     

    「うちの会社だけが来なかった…と後でいわれる」「なぜ(こんな悪天候で)来たのかと責められる」――荒天時にトラック運送の現場で耳にする、珍しくない話。荷主と運送会社の関係性から判断が難しい問題について、国交省は2020年2月28日付の通達で、台風などの異常気象時にトラックを運行させる際の「輸送の安全を確保するための措置を講じる目安」を定めた。

    運送事業者が気象情報などから輸送を中止する場合は、直ちに荷主へ報告することや、安全な輸送が難しいにもかかわらず、荷主に輸送を強要された場合には同省の「意見募集窓口」などに通報してほしい――といった内容。このなかで風の目安については秒速20~30m未満で「輸送を中止することも検討すべき」、同30m以上は「輸送することは適切ではない」と示した。

    ちなみに、輸送を中止しないことを理由に直ちに行政処分が行われることはない。ただし、同省が実施する監査で「輸送の安全を確保するための措置」を講じないまま輸送したことが確認された場合は「貨物自動車運送事業者に対する行政処分等の基準について」に照らして行政処分が科される。

     
     
     
     

    この記事へのコメント

     
    1. 匿名 says:

      無理して行ったら荷受けが誰も出勤してこなくて意味なかったけどな

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    2. 匿名 says:

      大雪で来ない、到着しないと思われてたみたいで、お昼過ぎに到着して事務所に顔出したら幽霊を見るような驚きの顔をされたのが印象的だったな、その後にお疲れ様、ありがとう、って言葉で救われた
      去年の新名神の通行止の体験談

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    3. 匿名 says:

      四月から速度上がる?
      今のうちに80以上の会社通報しなきゃ

      3
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    4. 匿名 says:

      強風時にはウイング開けないのが一番ですが、やむを得ず開ける時はまず、反対側のウイングは少し開けるだけでもいいけど、アオリは降ろしておく
      これだけで風の抜け道が出来る。
      保証はありませんが、ちょっとマシかなと思う。

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      • 匿名 says:

        すげぇ。知らなんだ。やってみます。うち平ばっかりでウィング俺だけだから

      • 匿名 says:

        あるある。
        あと、できる時はウイングのラッシングレールの所にラッシングするかな?
        走行中に開くかもしれないし。

    5. 匿名 says:

      荷物の積み下ろし時は風下のウイングを開けるとか建物がある場合は建物で風が遮られるようにとか発泡やベニアが飛ばないなど工夫しています。

    6. 匿名 says:

      昔、台風の中走行していて横風で押されウイングが破損した事があります。
      正直ドライバーの立場だった当時でも判断に困ったし、今の運行管理の立場でも荷主との兼ね合いでいつも判断に困るところです。
      こういう事はそれこそ基準を告示してもらった方が判断しやすいと思います。なんで大事な事なのに中途半端にしようとするんだろう。

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