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物流ニュース
前山倉庫 前山諭社長 「BCP対策に注力」
2016年7月26日
茨城県坂東市に本社を構え、賃貸物件も含めて1万9000坪の倉庫を管理している前山倉庫は、現会長の前山健一氏が創業。当初は食品系列の物流子会社による出資を受けていたが、同社が株式を買い取る形で、昭和49年から現体制となった。
前山諭社長は実父でもある創業者について、「波乱万丈という言葉がぴったり」と語る。家畜用の飼料や薬のセールスマンとして、日本全国を飛び回っていたという健一氏。「自ら営業してお客さんを獲得してくるというスタイルは昔から。創業から30年はそのやり方で、周りの人間は付いていくのがやっとだった」と笑う。
昭和30年代後半に起こった養鶏ブームに乗り、養鶏場を開業したが、「病気で鶏が全滅、大損した」。しかし、ここでへこたれることはなく、マイカーブームで外食がはやりだすと、今度はドライブインを開業。「店は1日中、お客さんでいっぱい。土・日は入店待ちで長い渋滞ができた」というほどに繁盛した。「時代の流れが右肩上がりで、その時々でウケそうなものを狙って、しっかりと当てていた」と振り返る。
さらに、ゴルフブームに乗じて練習場をオープン。「近隣に大手メーカーの工場が多く、本社から上層部が出張で来た際に、仕事終わりに練習場へ来られることが多かった」。健一氏は、そこで出会ったメーカーの担当者と話をする中で、「このあたりに倉庫が欲しい」というニーズをキャッチ。「台風で練習場が損壊するほどの大きな被害を受けたのを契機に、跡地に900坪の倉庫を建てた」。
倉庫ビジネスを始めると、「工場間の横持ちを頼めないか」という依頼が舞い込み、運送業をスタート。「製造ラインの最後でパレットに積みつける人が必要」ということで人材派遣業を始め、さらには請負による構内での加工作業など業容を拡大。「顧客ニーズを満たすことを主眼に置き、着実に事業を広げていった」。
前山社長は30歳で同社に入社。それまでは「全く畑違いのことをやっていた」というが、「バブル経済がはじけ、早めに基盤を立て直さなければと覚悟を決めた」と入社の動機を説明。在庫管理システムを導入するなど、矢継ぎ早に手を打った。
「従来は荷主のシステムを使わせてもらうもの」という考えが主流だったが、「これからは、それでは仕事が取れなくなる」との危機感から、社内外の反対を押し切りWMSを導入。「汎用性があり、カスタマイズで様々な荷主に対応できる」ことから、三谷コンピュータ(福井県坂井市)の「WーKEEPER」を導入した。
IT化の決断について、「倉青協の影響が大きい」と同社長。「同業他社が、どんなことをやっているのかを目の当たりにして、『なんとか追いつかないと』と、良い刺激を受けた」と振り返る。
同社では、ISO9001やプライバシーマークを取得し、顧客満足度を高めるとともに、BCP対策にも積極的に取り組んでいる。「3・11を経験し、いざという時のための備えが、いかに重要かということに気付かされた」という。「陸路が寸断された時に、物を運べるのは空路」ということで、自社ヘリポートも備えている。
同社から10分圏内のエリアで圏央道坂東ICの開通が控えており、近隣では現在、大型倉庫の建設ラッシュが続く。「今後、競争が激化していくのは間違いない。供給過剰になってくる可能性も踏まえて考えていく必要がある」と先を見据える。
◎関連リンク→ 前山倉庫株式会社この記事へのコメント
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