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物流ニュース
宅配便システムがパンク寸前 岐路に立つ運送業者
2017年1月1日
宅配便システムがパンク寸前に陥っている。インターネット通販が好調に増加しているのに加えて、慢性的な人手不足、細分化された時間指定など、過剰とも言える消費者へのサービスが宅配便をパンクさせようとしている。ここ数年、就業者人口は増加しているが、物流業界では逆に減少している。今後、どれだけ効率的に物流システムを維持していくか、トラック運送業界は岐路に立たされている。
配達される荷物の約2割が再配達になるという宅配便。再配達は消費者にとっては便利なサービスだが、配達するドライバーにすれば効率的な配送の邪魔でしかない。再配達に加えて、過剰とも言える時間指定サービスが宅配の効率的な配送の壁になっている。
ヤマト運輸の場合、時間指定は七つの時間帯(午前中、正午から午後2時、同2時から同4時、同4時から同6時、同6時から同8時、同7時から同9時、同8時から同9時)に区分されている。佐川急便も時間指定は7区分。日本郵便は6区分となっている。
平成27年にヤマト運輸が宅急便で取り扱った荷物は17億3126万個。同社車両のうち小型・軽自動車、その他を含めると4万2034台となる。単純計算で1日当たり100個以上の荷物を捌かなければならない計算となる。佐川急便は同11億9829万個で2万4379台。同130個以上の荷物を配達しなければならない計算だ。
これだけの荷物を配達しながら、一部時間指定に間に合わせるためにドライバーの負担が大きくなる。当然、現場のドライバーから悲鳴があがっており、「正直、人手が足りていないとは思っている」(大手宅配ドライバー)、「時間指定で不在という場合も多く、効率が悪くなることも少なくない」(同)という声が聞かれる。
物流業界では、パンク寸前まで人手不足に苦しんでいるが、産業全体を見ると、就業者数は25か月連続で増加している。完全失業者も79か月連続で減少。総務省の労働力調査(平成28年12月速報)では、就業者は前年同月比で81万人増加しているが、運輸業・郵便業では同3万人減少している。
パンク寸前の宅配便だけにトラブルも多くなっており、国民生活センターでは、トラブルの背景について、「運送スピードの向上もさることながら、消費者も配達状況を調べられるようになったことが、ライフスタイルの変化と相まって、配達日時に大きな期待を寄せるようになった」と指摘。「宅配便モデル約款において『道路状況などにより配達予定日の翌日までは遅延の責を負わない』とされており、多くの宅配事業者の約款でも、おおむね同様となっている。半面、配達日時の指定がない場合、消費者の不在などにより、度重なる持ち帰りが起きることは、結果的にお互いのメリットにならない状況」としている。この記事へのコメント
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