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物流ニュース
労働力の確保と定着率 「働きたい」魅力とは
2017年8月29日
様々な業界で労働力の確保が大きな課題となっている。トラック運送業界も早くから、人手不足が深刻化しているといわれてきたものの、なかなか改善できないでいるのが現状だ。そんななか、労働力の確保や定着率の高い事業者もある。このようにうまくいっている事業者では、どのような対策を行っているのか、その取り組みについて聞いてみた。
そもそも労働力を確保するためには、「働きたい」と思う魅力が、業界や仕事そのものになければ人は集まらない。トラック運送業界ではかつて、働いた分だけ稼ぐことができるという魅力があった。その魅力が、汚い、きつい、危険といった3Kのイメージよりも勝っていたため、ドライバーになる人が多かったのは事実だ。どの業界でも、賃金は仕事を決める上で重要なポイントとなるが、若年労働力確保のためには業界のイメージも重要となっている。
■啓和運輸 イメージアップに舞台劇
社会の経済活動を支える上で欠かすことができない運送業だが、社会的地位が低いように思われがちなのも事実。啓和運輸(川島満社長、埼玉県入間市)では2年前、運送業が脚光を浴びるようにと、永島敏行氏や中西良太氏といった有名俳優を起用した舞台劇「うんちゃん」の上演を行った。
永島氏が演じる運送会社の社長が、効率化が進む時代に苦悩しながらも、荷物を届けるということは真心を届けることだと、忘れがちな「真心」を運送に置き換えて描いた作品は、一般の観客を含め2000人の観客を動員し、大好評のうちに終了。その第2弾として10月3~5日と7、8日に、女性ドライバーを主人公とした舞台劇を上演することが決定している。川島社長は「運送業のイメージアップに今後も、このイベントを継続していく」考えだ。
550人のドライバーを抱える同社では、ドライバーを募集するたびに数十人の応募があるという。川島社長は「事故なく、怪我なく、元気よく、明るく、楽しく、そして永く仕事ができる会社でありたい」とし、「働いた分に見合った賃金をしっかりと得ることができると納得してもらえれば、人は集まり、定着率も高くなる」としている。
■ビー・カーゴワークス ブランド力で若者獲得
一方、斬新なイメージや発想で労働力を確保することに成功している事業者もある。社名とキャラクターを、一般的にイメージされる運送業とは少し違う斬新なものにして、イメージアップを図ったビー・カーゴワークス(波田雅文社長、千葉県市川市)は、軽貨物の仕事を取り扱う商社として、毎年多くの委託ドライバーを採用している。
働き者で親しみやすいミツバチをキャラクターに、社名は荷物を扱う仕事をしているという意味でビー・カーゴワークスと名付けた。このブランドイメージによる効果は大きく、多くの若者が同社に応募してくるという。波田社長は「ドライバーの平均年齢は30~40代で、若い人にとってイメージやブランド力は重要」と考えている。
また、同社は労働力確保のため、創業時に開設した東京・新宿の本社を3か月で千葉県市川市に移転した。波田社長は「新宿では人が全く集まらず、色々な場所に会場を借りて応募をしたところ、市川市の会場が一番多くの人を集めた。ドライバーになろうという人は、都心の面接に来ようとは思わない」との考えに至ったという。
そこで、市川の本社に続いて、支店を足立、所沢、新横浜、府中に開設。波田社長は「23区の入り口に支店をつくったのは、23区の外で集めた人に、32区の中で仕事をしてもらうため。支店は物流拠点というより、人材確保の拠点の意味合いが強い。この戦略がドライバー確保を容易にした」という。業界は深刻な人手不足といわれているが、「決して人がいないとは思わない。集め方に問題がある」と波田社長は考えている。この記事へのコメント
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