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物流ニュース
賃金水準引き上げに着手も いまだ4割が「不十分」
2017年10月10日
トラック運送業界で人材不足が続く大きな要因として指摘されるのは、長い労働時間と低い賃金水準。労働時間短縮の動きは、行政を含み様々な動きが目立っているが、賃金水準の引き上げに向けた動きは簡単にはいかないところでもある。北海道の運送業界の賃金にまつわる状況は、どのようなものなのか。
北海道では昨年度、人手不足が深刻な業界として、宿泊業、IT業、運輸業の3業種をピックアップし、業界ごとの実態調査や課題の抽出などを実施した。運輸業では1217社に「就業状況実態把握調査」を行い、277社、 従業員835人から回答を得て、「道路貨物運送業の改善策の方向性について」とレポートをまとめた。
道経済部労働政策局雇用労政課の輿水昌明主幹は、これをもとに道内の運送業界の賃金状況について説明。
道路貨物運送業の賃金水準について「一般労働者の所定外給与は4万398円で情報通信業に次いで高いものの、現金給与総額は30万9954円となり、宿泊業、飲食サービス業に次ぐ低水準。一方、パートタイム労働者の現金給与総額は12万9061円で建設業に次ぐ高水準となり、所定外給与も7780円で建設業に次ぐ水準の高さを示している」とし、パートタイム労働者の給与は高水準だが、正社員の給与総額が他産業を比べて低い水準にある現状を指摘。従業員に「現在の職場に改善してほしいところ」を尋ねたところ、「給与が低い」という回答が最も高く、従業員全体の39.5%を占め、ドライバーのみの回答だと41.5%にのぼったと説明する。
なお、「残業など労働時間が長い」という回答は、従業員全体の15.1%、ドライバーのみでは15.8%となっており、これにより、ドライバーを含めた道内の運送業界の従業員は「長時間労働への不満」を感じているのは15%ほどに過ぎないが、「給与への不満」は40%も感じていることがわかる。
事業者が「雇用環境を改善するために実施している内容」として、最も多かった施策は、「賃金水準の引き上げ」で、回答者の38.0%と最も高い割合を占めた。
この結果、「道内の運送事業者の約4割が賃金水準の引き上げに着手しているが、それにもかかわらず、従業員の約4割がいまだ給与が十分ではないと感じている」状況であることがわかる。この記事へのコメント
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