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物流ニュース
家族の介護で離職増加 人材は入らず出て行かれては・・・
2018年1月15日
子育て世代のドライバーを確保するための取り組み以上に現在、トラック業界で深刻さを増しているのが介護離職の問題だ。ドライバーの年齢層が上がり、おのずと要介護の家族を抱えるケースも増えている。国も企業向けに助成金を用意するなど仕事との両立を側面からサポートするものの、一時的な手当てで解消できない要素も少なくない。新しい人材が入ってこない現在のトラック業界にとっては、人材流出を食い止めるための対策も急務になっている。
「ドライバーが60歳で、その父親が90歳。面倒を見ないといけないから日帰りの仕事に変わりたいという理由で、この1年間ほどで3人が辞めた」と広島市安佐南区にある運送会社の社長。兵庫県南部の運送会社の場合はさらに深刻で、4月からの半年間に10人近くが退社。「半分以上は介護が理由。うちは2泊3日以上になる仕事が多く、引き止められなかった」と社長は肩を落とす。
いわゆる団塊の世代が70歳を迎えており、近い将来に要介護者が爆発的に増えるとの指摘もある。外国人技能実習制度を厳正に運営していくための新しい法律が11月1日に施行したが、そのタイミングで懸案となっていた介護業務が対象に加わるのも、そうした深刻な近未来が差し迫っていることを予感させる。
仕事との両立を支援するために厚労省も助成金を用意する。両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)は介護休暇の取得や職場復帰、働きながら介護するための勤務制度などを設け、社員らが利用しやすくなるように取り組む事業主をサポートしようというもの。ただ、介護者にとって大きなマイナス材料である不規則かつ、長時間の勤務になりやすいトラックドライバーの人材確保は切実だ。
親を介護する以外にも、ともに高齢となった配偶者の面倒を見るために仕事を変えるドライバーもいる。岡山市南区の運送会社も先日、「脳の疾患で半身が不自由になった奥さんの世話をするため、59歳のドライバーが辞めた。昼間は息子夫婦が見てくれるらしいが、夜は自分がいないとダメらしい。ダンプに乗るつもりだと聞いた」(社長)という現実に直面した。
トラックの乗り換えやドライバーを交代させるなど、貨物運送業界では労働時間を縮めるための工夫を凝らしているが、トラック1台当たりの運賃収入が上昇しないなかでは「1人分の賃金を2人で分けるようなもの。一般貨物の事業者にできるはずがない」とタメ息が漏れる。さらに介護の問題で日帰り運行の体制を整えなければならないとすれば、「少なくとも現在の1.5倍の運賃をもらわなければやっていけない」(岡山市中区にある運送会社の社長)との見方が大半だ。
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