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物流ニュース
効率化に取り組む産廃業界 東京都のモデル事業、19社が連携
2018年2月27日
東京都の事業系一般廃棄物の収集運搬・処分企業は推定で約400社、収集車が約2500台、産業廃棄物については約1万4000社、収集車が数万台にも及ぶといわれている。繁華街では多くの産廃収運事業者が同時に収集運搬を行っており、必要以上の収集運搬車が交通渋滞の一因となっている。加えて、深刻な人手不足や更なるリサイクルへの要望など、ごみや資源を回収する静脈物流は難しい局面を迎えている。
こうした状況のなか、エコスタッフ・ジャパン(田部和生社長、東京都中央区)をはじめとする廃棄物処理・リサイクル企業19社が連携し、Web版「事業ごみ受付センター」を開設。都のモデル事業として、「Web活用及び処理業者連携の促進による事業系廃棄物処理の効率化事業」を推進している。
オリンピックに向けた街の美化や収集車台数の削減による渋滞緩和、CO2の削減、資源ごみのリサイクルの恒久対策に向けた社会実験として、1月10日から約1か月実施。事前のシミュレーションで、車両やドライバーを約2割削減する可能性があるとして行われた。
エコスタッフ・ジャパンの顧問で工学博士の馬場研二氏は「営業会社が排出事業者から集めた仕事をAI配車システムで合理的に収運事業者に配車。飛行機のコードシェア便みたいなもので、下請けではない」とし、「この事業のポイントは、売り上げは変わらないが出費が減るところ」と話す。
静脈物流では下請けはできないので、契約は1対1でやらなければならない。法律的なハードルがあるので取り組みにくいが、コンプライアンスを守ることを前提にした産廃における共同配送となっている。
同社開発室室長の齋藤光男氏は「排出事業者と収運事業者の契約時に、電子契約や電子マニフェストでサポートするのが『事業ごみ受付センター』の役割」とし、「連携収集という仕組みで、中小事業者の事業継続、排出事業者へのサービス革新、CO2排出量の削減を目指す」としている。
エコスタッフ・ジャパンのWeb版「事業ごみ受付センター」のモデル事業で連携しているSBS即配サポート(鎌田正彦社長、同江東区)。ネットを介すことで、排出事業者との契約が法律を順守した上でスムーズに行えるほか、ITによる管理や書類の電子化が必要との考えから、同モデル事業に参加した。
環境事業部長の菊地芳春氏は「収集運搬は排出事業者と直接契約しなければできない法律になっている」とした上で、「人手不足対策として効率化を進めていく上で、今の法律の不便さを強く感じている」という。
「現行法に合わせてどう対応するかとなると、モデル事業のようにエリアをシェアすることだ」としながらも、「一つの仕組みに入ってしまうと企業努力をしなくなる恐れがあるため、モデル事業を経験したうえで自社独自のシステムを構築するか否かを判断していかなければならない」とした。
廃棄物は不定期で出るものの方が多く、対応するための設備投資をその都度行うということが難しい。だが、協力会社を使うことができれば対応でき、効率化につながる。菊地氏は「時代や状況に合わせ、現行法の改正が行われることを望んでいる」と話す。
一方、リサイクル事業や解体工事事業などを行っている三森興産(三森東亜社長、横浜市)のマネージングディレクターである三森正浩氏は「人手不足に関しては、法律や仕組みが邪魔しているというわけではない」と考えている。
「人手不足の問題は運賃が適正にならなければ解決しない」とし、「利益がしっかりと出るような仕組みにするためにも、法律を順守しながら排出事業者を積極的に取り込んでいかなければならない」としている。
そのためには、排出事業者にとっての利便性を高めていくことが必要として、「インターネットやアプリを活用して、契約やマニフェストの登録をわかりやすく簡単にできるようにすることができれば、画期的に利用者も増えるのでは」と話す。
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