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物流ニュース
セコム 施設セキュリティの重要性を広め、業界に変革を
2018年10月29日
セコム(東京都渋谷区)は、倉庫や物流センターの物理的セキュリティ対策の強化から、安全性を客観的に証明するための認証取得までをトータルに支援する「セコム・サプライチェーンセキュリティ・セレクト」を発売。同社TSS企画推進室の桜井俊之室長は、「サービスの発表以来、多くの企業からいろいろな話をいただく。『これまでは、どこに相談すれば良いか分からなかった』という声もあり、手応えを感じている」と語る。
機械警備、監視カメラ、出入管理の3点を軸に、セキュリティ体制を構築していくが、「現在のリソースを有効活用しつつ、希望されている認証の取得で足りないものだけを増やしていくイメージ。すでに導入されていれば機器類を買い直す必要はない」。「外しか見ていなかったカメラを中にも向ける」や「死角をなくす」「扉や鍵の種類を変える」など、同社独自のノウハウを生かし、細かい部分もアドバイスしていくという。「いずれは、TAPAやC―TPAT、AEO、改正SOLAS条約など、サプライチェーンに関するさまざまな認証のフィジカルセキュリティ対策支援を行う予定」とし、サービス名の「セレクト」にその思いを込めた。
同室長は、「東南アジアでは、倉庫の安全性を証明する手段としてTAPAの取得が増えているが、日本の物流業界では他の認証も含めて、いずれもなかなか浸透していないのが現状」と指摘。一方、「フォワーダーの方に話を聞くと、海外企業との取引の際、倉庫が安全であることの証明が条件となるケースも多く、『認証を取りたい』という営業担当者は多い」。ところが、「これらはいずれもマネジメント認証であるため、取得するにはハードルが高く、英語で書かれた難解な文書を読むところから始めないといけない。数年計画で億単位の投資が必要になることもあり、諦める会社も少なくない」。
そこで同社では、ISOなどの審査機関のSGSジャパン(横浜市保土ケ谷区)と共同研究を行い、今年2月に「SGS施設セキュリティ評価基準」を策定。3月には、第1号として沼尻産業(茨城県つくば市)が取得した。
同基準は、物流事業者がリスク低減のために採るべき施設の物理的なセキュリティ対策を標準化した汎用的な評価基準で、取得すれば施設の安全性を客観的にアピールできるというもの。日本語で構成されているのもうれしい。
また、専任担当者が必要になるような大がかりなマニュアルの作成は不要で、その代わりに、会社としてのセキュリティに対する考えをまとめた「セキュリティポリシー」の策定が義務付けられている。「スタッフが読め、実行できる量のルールを作り、それを全社で徹底することが大切」。
同評価基準では、マルチテナント型の施設向けに、テナントの区画を除外する「共用部限定取得」制度が設けられている。貸し倉庫の場合、1階の道路や敷地内、事務所や守衛室、エレベーターホール、高層階につながるランプウェイがある場合は車路など、オーナーが所有している部分に認証エリアを限定。「テナント企業は、入居する際に自社のエリアだけ対応すれば認証が取得できる」とメリットを訴える。
また、「竣工前の誘致宣伝に使いたい」というオーナーの声が多かったことから、「書類審査で『認証取得予定』という証明書を出すことも可能」だという。
クラスは、「厳格な国際基準と同等レベル」だという「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」の3つ。
同室長は、「施設セキュリティの重要性を広めることで、物流業界を変えていきたい」と、同サービスの普及を目指す。
◎関連リンク→ セコム株式会社
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