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物流ニュース
潮水か構造か 燃えたシャシー、解明いっそう難しく
2018年11月8日
「台風時には、このトレーラシャシーは逃がしていたはずだが…」。10月中旬に発生したトレーラシャシー火災。シャシーを管理していたフェリー会社の担当者が本紙取材に対し、神戸港に甚大な被害をもたらした9月の台風21号などの高潮時に、燃えたシャシーが浸水していた恐れのある認識を話した。燃えたシャシーは日本トレクス製で、同社が3年に一度の定期交換を推奨するスプリングチャンバと呼ばれるブレーキ部品が交換されていたかどうかは、まだ分かっていない。スプリングチャンバをめぐっては定期交換の必要性がユーザーに浸透し切れておらず、抜本的対策が打たれていない。そんな中でシャシーが高潮に浸水していたのかどうか。火災原因の究明が一段と難しくなっている。
シャシー火災が、チャンバ交換の有無など、従来から指摘されているシャシーの構造が原因で発生したものか、それとも火災が起きやすいとされる潮水の浸水によるものなのか。シャシーを管理していたのは、神戸と香川・高松を結ぶフェリーを運航しているジャンボフェリー(神戸市中央区)。同社担当者によると、高潮被害があった台風21号などの通過当時、フェリーターミナルのある「第3突堤」(同区)にはシャシーは置かず、近くに避難させていた可能性がある、という。
担当者は、「このシャシーは逃がしていたはず。ただ、どこに逃がしていたかははっきりしない」と話している。定期交換部品として推奨されているチャンバの交換について担当者は、「(交換の必要があるとは)聞いていない」と話す。
日本トレクスは今年6月、チャンバに不具合が生じるおそれがあるとして、改善対策を国交省に届け出た。それによると、「交換期限を越えて使用されたチャンバ内のダイヤフラムの劣化などによりエア漏れを生じるものがある」という。エア漏れによって駐車ブレーキが作動してしまい、引きづり火災に至るおそれがある、というものだ。
日本トレクスは2015年4月から三度にわたり、同様趣旨の改善対策を届け出ている。同社によると、今年6月までに同様の火災は少なくとも全国で102件発生している。同様の改善対策を相次いで出していることについて同社サービス部は、「シャシーの転売などで対策が進んでいない面もある。火災も起きていることから周知のための案内」だとしている。
今回の火災は、兵庫県西宮市内の阪神高速道路上で発生。シャシーを牽引していた大阪市内の運送会社のドライバーは、本紙取材に「何の違和感もなく走行していたら、同方向に走行中の車から煙の出ていることを合図された。火災が起きたこと自体は、ものすごく胸が痛い。誰が牽引しても同じことになっている」と話している。
同運送会社の社長は、「20年以上勤続の優秀なドライバー」として、落ち度の感じられない火災に納得がいかない様子で話した。火災を検証した西宮市消防局鳴尾消防署は「少なくとも後部のタイヤから出火しているが原因は特定できていない」と話している。
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