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物流ニュース
定着率高い会社とは 労働力確保ますます厳しく
2019年7月19日
総務省の発表によると、生産年齢人口は2060年には4418万人にまで落ち込むと見込まれている。つまり、労働力の確保はますます厳しくなるということだ。そのため、労働力の確保はもちろん、定着率を高めていくことが重要となる。そんななか、定着率が高く、労働力もしっかりと確保できている会社には、「見える化」「多様な働き方」という共通のキーワードがあった。魅力のある働きやすい会社とは、どのような会社なのか。
運送事業のほか、倉庫業やコンビニエンスストア事業、飲食店事業などを展開するアスロード物流(神奈川県横浜市)の安田浩社長は「1日24時間しかない中で、長い時間を仕事に使っているのだから、楽しく仕事をやらなければもったいない」と話す。それには、労働環境や条件の良い会社に入る必要がある。同社では、楽しんで仕事に取り組んでもらうために、働き方改革などのルールや規則を守ることは当然だとした上で、働きやすい労働環境の整備に力を入れている。
さらに、可能な限り、会社の売り上げや利益などを従業員に開示している。「今年に入って、全てのドライバーの給料を平均4万円上げた」とし、「それについてドライバーと、給料を上げた分は、どのようにして捻出したものか、続けていくためにどうしていかなければならないのかを包み隠さず話し合った」という。
その結果、ドライバーは自発的に、仕事の効率化や利用者への対応など、ただ物を運ぶということだけではなく、それぞれができることに取り組むようになった。これは、最近の事例だが、このように具体的な数字や仕事内容などの「見える化」は、早くから行ってきた。
楽しく仕事をすることが定着率につながる。そのためには、会社にやらされるのではなく、自発的にやることが重要なので、マニュアルや教育は特に行っていないという。重要なのは、あいさつとコミュニケーションで、現場に出ている従業員の意見をしっかりと聞くことだとしている。
運送事業をはじめ、倉庫事業、横浜コミュニティシェアサイクルbaybike事業、労働者派遣事業などを行っている置田運輸(同)は今年45期目を迎えた。置田圭三社長は社長に就任した41期から、経営計画書をつくって、全従業員と取引先に発表会で全てを公開している。
置田社長は「凄く目新しいことをしているわけではないが、社内での見える化には徹底している」とし、「社内的に、今期は何を目指し、どういう重点施策があるのかなどについて、全ての従業員と共有している」という。
「会社の方針を明確にして、数字も共有しているので、たとえば賞与時期になれば、今期はこの程度は出せるのではないかということも皆が理解している」とし、「会社の今の生の温度感というものをわかってもらうことは、少なからず定着の一助にはなっていると思う」と話す。
同社ではずっと、社員雇用を継続しているので、当然ながら人件費にかかる費用は高い。閑散期だろうが繁忙期だろうが標準化されているため、安心して働けるということも定着率につながっていることは間違いない。
さらに、置田社長は「実運送をやっている会社だが、倉庫事業やシェアリング事業、労働者派遣事業など、物流だけではなく、会社としての多様性を持っているということが魅力につながり、興味を持ってもらえることになる」と考えている。
いろいろな人が安心して働ける環境や仕事をつくることで、結果的に定着率につながっている。仕事内容も含めて働きやすい環境をつくっていかなければ人は集まらない。アスロード物流と置田運輸はそれぞれ、社員全員が、同じ方向に向かって動いているからこそ結果として良い形になっている。
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