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特車許可 地域によって期間に差
2017年12月8日
一定の大きさや重さを超える車両を通行させるには許可が必要。しかし、運送事業者からは「特殊車両の許可がなかなか下りない」という声を聞く。ルート配送の仕事ならまだいいが、スポットの場合、「許可が下りるまで半年ほど待ってください」では仕事にならない。対応に苦慮する運送会社だが、地域によってもその状況が変わってくる。各地の国道事務所に話を聞くと、申請から許可までの期間に差が出ているようだ。
申請数が多いと考えられる東京ではどうだろうか。東京国道事務所では「経路によるので一概には言えないが、オンラインで1か月。東京都や千葉県など回答が遅いところと協議した場合、5か月から6か月かかることもある。だいたい2か月から3か月。協議が少なければ、受け付けが早くなるのは確か」という。名古屋国道事務所では「長いと3か月。短いと10日ぐらい。ウチでは取り扱っている件数が多いが、地域によって差が出ることもあるかもしれない」と説明。大阪国道事務所では「協議のない申請の場合、平均で20日ぐらい。必要のあるものでも47日。一部で長くなることもあるかもしれないが、特に特別なことをしているのではなく、決められた通りに処理をしているだけ」と説明する。
札幌開発建設部では「協議先にもよるが、1か月で回答がある場合もある。経路数や車両の重さにもよるが、協議がなければ1か月。協議があっても北海道内なら1か月から3か月。車両の重量が重くなればなるほど時間がかかる」と指摘。仙台河川国道事務所では「通常なら更新で2週間、新規申請で3週間。いまは混み合っており、現在、やっているものは9月に申請があったもの。協議があれば2、3か月はかかる」という。
松江国道事務所では「申請内容によって異なるが、1か月かからないものもあれば、3か月かかるものもある。経路が非常に長くて管理者が多いなど特殊な申請だと例外もある。ここ最近の例だと1か月から3か月」と説明。福岡国道事務所では「九州で事務所の集中などがあり、現在では時間をいただいており、3、4か月かかっている。短かければ1か月ぐらい」という。
高速道路の場合はどうだろうか。日本高速道路保有・債務返済機構によると「申請の多さや車両の種類にもよるが、申請からだいたい1か月ぐらい」という。中日本高速道路東京支社では「2、3週間。もっとかかる場合もあり、経路によっては判定に時間がかかる」とし、西日本高速道路関西支社では「申請数や申請に不備がある場合もあり、特に長いものになると半年というものもあった」としている。
行政書士鈴木事務所(横浜市)の鈴木隆広行政書士は、「最も大きい理由として、単純に申請量が増えていることが挙げられる。なぜなら、取り締まりもどんどん厳しくなっているから。それに伴い、事業者のコンプライアンス意識も高まっている」と指摘。「取り締まり自体は行政の役割だから仕方ないことだと思う。ただ、これはジレンマで、『明日行かなければいけない仕事だけど、明日に通行許可は出ない。だったら取りたくても取れない』という現実がある。行政として、ルールの適用は誤っていない。ただ、現実の経済活動にルールが追いついていないという典型的な例だと思う」と話す。
また、「最近の感覚としては、行政のチェックも細かくなってきている。昔は出発地も目的地も、細かい枝道は取らずに幹線道路からの申請でも許可が下りている例が多くあったが、最近はグーグルのストリートビューで現地が確認できるので、行政もそれを見て『枝道まで取って下さい』と指導している。多くの場合、その枝道は未採択道路になる。未採択道路は多くの場合、ネットで情報が取れないので、現地の役所に照会するが、その手間は申請者にとっても行政にとっても膨大な量になる」と説明する。
同行政書士は、「運送事業者に違法な通行をさせないためにも、道路の細切れ申請を認めることや、ある程度の大きさの車両であれば届出制にすることも、議論したほうがいいのではないか」と提案。「このままでは、だれも得をしない」と話す。
国交省(道路交通管理課)では、「もちろん、課題として認識している。生産性プロジェクトとして取り組んでいる。時間がかかる部分は協議の部分。国が管轄する道路と地方自治体が管轄する道路が混在しているのが普通で、協議に時間がかかっている。協議を減らして省略していく方向で、自動化するよう取り組んでいる。いまは平均1か月かかっているが、2020年度までに平均10日にしたい」としている。
また、許可までに時間がかかるケースについて、「新幹線の車両などの超重量・寸法のものは、個別の橋ごとにチェックしているので、そう言ったものは時間がかかる」と説明する。
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