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ブログ・小山 雅敬
193回:新型コロナ感染拡大が運送会社の実務に与える影響
2020年10月13日
【質問】現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、運送会社の実務に、どのような影響が出ているのでしょうか?
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済の停滞により、多くの中小企業に甚大な影響が出始めています。弊社が関与する運送会社は全国各地に存在し、その規模や業態、保有車両の種類など多種多様ですが、今回の事態が経営に与える影響は荷主や取扱貨物により2極分化しています。
物量が激減し、従業員の自宅待機や休業などの措置を検討している会社群と物量は減少していないが、感染防止対策に大変苦慮している会社群とに分かれます。物量が激減している会社は主に荷主企業の操業が止まっている会社です。この場合、雇用維持の問題が極めて重要になります。
現在、政府の緊急支援策が検討され、雇用調整助成金の特例や無利子無担保の制度融資などの諸施策が打ち出されています。経営者は厚労省や全ト協などのホームページで刻々と変化する最新情報を掴み、迅速に経営に生かすことが極めて重要です。
運送会社の中には、この事態に直面して、改めて平均賃金や休業手当の算出方法を再確認している運送会社も見られます。つい数か月前まで人材確保対策に奔走していたとは思えない急変ぶりです。
一方、物量が減っていない会社群は、食品や日配品の配送などで、特に衛生用品(マスクなど)の配送を行う運送会社は労働時間の特例申請を促されるほど多忙になっています。それらの会社群は取扱商品の性格上、感染防止対策に極めて厳しい要請を受けており、管理に神経を使っています。運送会社特有の留意点は全ト協が2009年に発行した新型インフルエンザ対策ガイドラインの緊急対策マニュアルおよび副読本に詳しく記載されているので、その内容を全員に周知することが重要です。
また、直近の動向として、優良な人材が求人募集に応募してくる動きが顕著に表れてきました。例えば、管理業務を任せられるIT人材、運行管理や営業等に長けた中堅人材、30〜40歳代の中堅ドライバーが採用できて驚いている経営者が複数見られます。運送業から他業種に移った人材が、また運送業に戻ってくる動きが見られます。彼らは応募動機として「やはり安定して仕事ができる会社が一番」と語っています。今は、とても大変な時期ですが、この機に運送会社が優良人材の受け皿になるという意識と行動も大切です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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