-
ブログ・小山 雅敬
199回:「標準的な運賃」を活用するための手続きと留意点
2021年1月19日
【質問】先般国交省から告示された「標準的な運賃」を活用して、荷主との交渉を開始したいと思います。標準的な運賃の活用にあたり、必要な手続きと留意点があれば教えてください。
「標準的な運賃」を実際に活用する際の手続きを確認しておきたいと思います。「標準的な運賃」をそのまま自社の運賃として活用する場合は「運賃料金変更届出書」および「運賃料金適用方」の2つの書類を管轄の運輸支局に提出する必要があります。これらの書類はワード版の様式が全ト協のホームページに掲載されておりますので、ダウンロードして、記載例などを参考に各社の実態に応じて記入すれば結構です。
「運賃料金変更届出書」には新旧の運賃の種類を記載する欄がありますが、旧運賃が「旧公示運賃(H2、H6、H11)」で新運賃が「標準的な運賃」である場合は、添付書類が不要となり、該当箇所にチェックを入れるだけです。但し、前記以外の運賃種類では新旧の運賃表を添付して提出しなければなりません。
「運賃料金変更届出書」は簡単な書類ですが、一方の「運賃料金適用方」は運賃の具体的な適用ルールを記載する書類であり、細かい内容となっています。但し、H11年公示運賃の際の「運賃料金適用方」を参考にして、自社の状況に合わせて記入すれば結構です。留意点を挙げると、運賃の計算方法の記載については「上下幅の設定」に注意する必要があります。あまり狭く設定すると弾力的な運用ができなくなります。また端数処理の方法は「切り上げ」を基本とし、適切な金額を設定します。個建契約運賃の設定においては、特に運賃算出に使う「積載率」の数値が単価に反映されるので重要です。運賃の割増および割引の記載方法については、過去の例を参考に、自社の事情を踏まえて設定してください。
また、待機時間料や積込料、取卸料、付帯業務量などの「料金」については前回の標準約款の改正時に新たに届け出た会社も多いと思いますが、今回の届け出で「標準的な運賃」に合わせて見直すことが可能です。また、高速道路使用料やフェリー利用料、旅費などの「実費」については運賃料金とは別に収受する旨を記載しますが、特に今回の「標準的な運賃」は中長距離輸送の運賃算定にあたり、高速利用を前提に計算しておりますので、高速道路使用料を別途収受しないと原価割れになる可能性があります。なお、燃料サーチャージの届け出をしていない会社は、今回新たに届け出ることが可能です。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
「ブログ・小山 雅敬」の 月別記事一覧
-
「ブログ・小山 雅敬」の新着記事
-
物流メルマガ