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    関越道バス事故でトラック業界にも影響

    2012年8月2日

     
     
     

     関越道でのバス事故を受け、労基署の動きが活発化している。バスと同じ営業ナンバーをつけるトラックにもその影響が徐々に出始めている。労基署の監査は、そのまま国交省の監査、そして行政処分という構図ができつつあるだけに、その一挙手一投足に事業者らは戦々恐々としている。突然、前触れもなく労基署の監査が入り、改善指導を受けたという千葉県の事業者は、「運送事業者だけを指導するのは不公平だ」としつつも、「遅かれ早かれ国交省の監査は避けられず、今はまな板の上の鯉だよ」と、どうにもならない現状を嘆いている。


     千葉県の事業者に労基署から連絡が入ったのは2か月前のこと。関越道のバス事故が発生して間もない頃だ。同社社長には労基署の監査を受ける理由が見当たらなかった。従業員が駆け込んだわけでもない。後で分かった理由だが、「過去に残業代の支払いでドライバーとトラブルになったことがあり、それを担当官が覚えていて監査に入った」という。
     過去といっても数年前のことで、解決済みの案件だった。「今いるドライバーが駆け込んだのならいざ知らず、すでに解決している事を持ち出して監査に入るのはおかしい」と感じたものの、抵抗できずに監査を受けた。ドライバー数人が月間の法定労働時間をオーバーしている点や、1日の労働時間が16時間を超えている点など、6項目について改善指導を受けたという。
     「交通事情や待ち時間など、事業者の努力ではどうにもならないことがある。我々運送事業者だけを取り締まるのではなく、むしろ荷主を説得しなければ意味がない」と抵抗したが、「そんな仕事は断ればいい」と担当官は答えた。「業界の現状を知らない役人の言葉だ」と感じたが、それ以上のことは言えず、黙って従うしかなかった。ただ、労働時間の問題は、すぐに改善できるものでもないため、同社長は徐々に改善していく旨を説明した。一定の理解を得られたものの、時すでに遅しである。
     労基署には国交省への通報制度があり、同社の場合、違反の状況からして通報の対象になる。担当官からも同社長に対し、通報する旨の指摘があった。通報が入れば、国交省の監査はまず免れない。
     「関越道でのバス事故で、労基署が取り締まりを強化しているとは聞いていたが、まさかうちがその影響を受けるとは思わなかった」と話すが、「現在進行形ならまだしも、過去にトラブルがあったという理由での監査はどうも納得できない」とこぼす。
     いつになるかわからない国交省の監査に、「車両停止など、行政処分はまず避けられない。いつくるか、いつくるかと戦々恐々としながら待つだけ」と苦笑する。

     
     
     
     

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