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物流ニュース
倒産にみる運送経営の厳しさ
2024年7月31日
運送事業者の倒産が増加している。東京商工リサーチによると、今年5月の倒産件数が46件と、前年同月比で119.0%増となったという。3か月連続で前年を上回る状況で推移している。倒産理由は、「物価高」関連倒産が多く、「人手不足」関連倒産、「後継者難」と続く。資本金別では1000万円未満が29件、従業員別では10人未満が31件と、小規模の事業者の倒産が目立つ。業界では現在、燃料高騰をはじめ、人件費などのコストが上昇しており、厳しい経営環境が続いている。
さらに、2024年問題の端緒となった時間外労働の上限規制の適用など、労働時間への規制も加わり、経営環境の改善が必須となっている。
こうした状況を受け、岸田文雄首相が自ら物流の重要性を訴えるなど、国をあげた対策が進められている。運賃転嫁はまだまだ思うように進んでいると言えない状況ではあるものの、運賃が上がったという事業者の声も出てきているのも事実で、一部で改善の兆しも見え始めてはいる。ただ、末端では今も厳しい状況が続いている。小規模事業者の価格転嫁はなかなか進んでいない。
直荷主ではなく、荷主が同業者というところが多く、さらに多重下請け構造の最終事業者として、仕事を請け負っているケースも少なくない。こうした環境が運賃交渉を難しくする要因ともなっている。かつては、厳しくなれば社長自らトラックに乗ればいい、身内で経営するので融通が利くなど、小規模事業者の倒産はむしろ少ないとの指摘もあった。しかし、今回の結果をみると、そんな指摘は当てはまらず、的外れである。裏を返せば、それだけ厳しい環境になってきているのだといえる。
倒産だけでなく、後継者難から今後の見通しを不安視し、廃業を選択する事業者も増えており、今後、淘汰の波が急速に押し寄せてくる可能性も否定できない。業界は確実に変わってきている。
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