-
物流ニュース
「多重下請け構造」問題是正へ 水屋、求荷・求車サイトへの規制も
2024年10月9日New!!
トラック運送業界では20年ほど前から、実運送事業者が適正な運賃を確保できない「多重下請け構造」には問題があると言われてきた。全ト協は是正に向けた方策を検討する上で、問題点を「多重下請け構造のあり方に関する提言」で取りまとめており、なかでも、無責任で悪質な水屋(利用運送専業者・取次事業者)や求荷・求車サイトへの対策を重視すべきだとしている。
全ト協では昨年10月に坂本克己会長の諮問機関として検討会を設置、今年3月に提言を取りまとめた。それを参考に、国交省は8月23日に是正に向けた「トラック運送業における多重下請け構造検討会」(第1回)を開催した。
そもそも多重下請け構造についてはこれまでも問題提起がなされてきたが、その実態を把握できず対策が見いだせていなかった。全ト協も提言で問題点を挙げているが、具体的な対策については、「これから検討する」という状況だ。
全ト協は、是正で重視している水屋や求荷・求車サイトについて、「トラック運送業界にとって必要がないわけでは決してないが、輸送に関しての無責任さ、明確な運行指示のない単なる横流しなどの実態があるため、何らかの規制をすべき」としている。
さらに、「多くの車両情報を持つ水屋が、実運送事業者の採算を度外視した車両の確保を行うことは問題。水屋は元請け運送事業者と同様に、依頼元の運送事業者などから運賃とは別に利用運送手数料を確保し、実運送事業者に適正な運賃を支払うべきで、国交省はチェックする仕組みを設けるべき」としている。
求荷・求車サイトについても、「標準的な運賃を大幅に下回り、採算がとれない水準の運賃はサイトに載せないよう厳しく規制すべきで、著しく低い運賃を掲示している利用者はトラックGメンによる監視・監査で是正指導の対象にすべき」としている。
国交省「2020年代の総合物流施策大綱に関する検討会」構成員を務めた小野塚征志氏(ローランド・ベルガー)は、トラック運送業の多重下請け構造について、「経済的には『ムダなコスト』で、ない方が良い」とし、「解消に向けて政府が取り組むべきことは、米国と同様に再委託を禁じる法律を作ることだが、日本の法体系では難しい。それゆえ、貨物自動車運送事業法を改正し、孫請けやひ孫請けに委託すると手間が掛かるようにしている」と説明する。
同氏は、「元請けが最初から現場の運送会社に委託しないのは、空いているトラックを探す作業を下請けに任せたいからで、多重下請け構造の解消には、『空いているトラックを見つけられる仕組み』が必要」と指摘。「水屋の存在は否定しないが、実運送事業者に適正な運賃を支払う必要がある。実際には、他社の運送依頼を水屋が受注し、その受注価格よりも高い価格で掲示板に載せるといった不適正な利用が横行しており、水屋が『転売屋』になっている」
同氏は、「求荷・求車サイトも不適正な利用を規制するべきだが、証券市場のように転売できない仕組みになれば、マッチングサイトこそが多重下請け構造を破壊する『空いているトラックを見つけられる仕組み』になるかもしれない」と説明。「適切な実運送事業者を簡単に見つけられるようになれば、多重下請け構造は解消される。運送事業者の配車計画がデジタル化されて、それが相互につながるようになれば、空いているトラックをデジタルで見つけられるようになり、多重下請け構造はなくなる」としている。
◎関連リンク→ 全日本トラック協会 多重下請構造のあり方に関する提言について
この記事へのコメント
関連記事
-
-
-
-
「物流ニュース」の 月別記事一覧
-
「物流ニュース」の新着記事
-
物流メルマガ
いろいろやっているみたいだけど期待出来ません
やっとそこにメスが入るのかという感じ。
全部直荷のみは無理だとしても、ピンハネして流すだけの多重下請け構造は早期に是正するべき。努力義務だの口先ばかりで終わらせては意味ない。
運送以外にも全てメスを入れないと変わらない。
零細運送事業者は、営業が出来ない(まともな運賃で仕事を取ってこれない)ので、運転手付きで車両を水屋に預けている所がある。
月の売上げは「大体このぐらい(運送事業者が経営していける最低ライン)」と、双方で合意し、水屋の配車で動くワケだが、水屋は実際の運賃を明らかにせず月の最低ラインを少し上回る月額を運送事業者に支払う。
しかし実際に走っている運転手は、「これだけ走って売上げこれだけ?」という金額で、水屋に不信感を持つ。
問題はその先で、それでも諸事情により転職出来ずにそこで働く人がいること。それが「車なんかいくらでもいる🟰水屋がなくならない」となり、運転手→安くてもそれをやるしかない、運送事業者→最低ラインの売上げは確保出来る、水屋→大儲けの図式が出来上がる。
佐川急便をどうにかしてくれ!何も変わらねーぞ!時間も運賃もくそすぎる
本当に佐川は舐めてる24年問題無視
カンガルーもでっせ
実運送の最低運賃を、kgとkmで決めればいいだけ。
全日本トラック協会はマジで信用にならん。いつもやってるん感だけ。 やらなくていいことだけ頑張る糞協会。 国に、外国人ドライバーの規制緩和の要請「バカじゃねー」
2次下請けまでだろうね。
悪しき運送業界の風習が有るからこんなくだらない問題が起こる。
中抜き前提の下請けは時代錯誤終わりにした方が良い。
トランコムの事やないか
直の荷物でPL物なら自社が走るやろし、
面倒な仕事やバラ仕事は、直で取っておきながら水屋で回ってくる。
水屋の仕事ばかりしてる会社はなんぼ頑張っても売り上げあがらないし、なぜ直の仕事営業にいかないのか?不思議。
もともと直の荷物ばかり持ってる会社は
水屋にまわしたとて運賃抜いて、安い運賃を回すからこそ利益も売り上げもあがる
2024年からはどんなに走っても給料はあがらない。当日便走ったとしても安い運賃、月のトータルにしたら給料こんなもんか。になる
ドライバーこれでは増えない所か減るわ