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    ETC2.0の展望 新サービス物流を支援

    2015年11月19日

     
     
     

     首都圏の道路ネットワークは着々と整備が進んでいる。今年3月の中央環状品川線の開通に加え、2016年度には圏央道がおおむね完成する見込みだ。渋滞に悩まされることなくスムーズに通行できれば、トラックドライバーの負担軽減、さらには生産性の向上につながる。「ETC2.0」は、道路に設置されたITSスポットと呼ばれるアンテナと双方向通信を行うことによって、料金収受だけでなく渋滞回避・安全運転支援サービスを可能にした。今後、ビッグデータを活用した新サービスのさらなる展開が期待されるが、ETC2.0が物流にもたらすもの、そして国はどのような展望を描いているのか、今秋スタートの特車通行許可の緩和、トラック運行管理サービスの試行にあたり国交省道路局企画課の水野宏治道路計画調整官に話を聞いた。
     ETC2.0は、全国の高速道路約1600か所に設置されたITSスポットとのやり取りで、利用経路、利用時間、速度、加減速データなど様々なデータを取得する。また、アンテナ通過から80km分の走行記録を蓄積できるため、一般道での走行履歴なども取得可能。こうした広域な道路交通情報がドライバーにリアルタイムに配信され、例えば、5日に1件以上事故発生している地点やカーブ先の見えない渋滞など、事故が発生しやすい場所の手前で音声や実際の映像によって注意喚起する。事前情報を得ることで、渋滞回避のため迂回路を選択することも可能になる。


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     〝日本人の総移動時間の4割、約280万人分の労働力に匹敵する時間を交通渋滞によって損失している〟という統計結果がある。これに加え、トラックドライバーには荷待ち時間の問題もある。水野道路計画調整官は「渋滞の4割を短縮できれば、ドライバーの負担軽減になるのでは」と話す。交通量を分散させることで、実際に中央環状品川線の開通による内側の交通量は5%減少し、交通渋滞は5割減少している。
     ところが、現状と合わない料金設定のために交通量の平準化がなかなか進んでいなかった。例えば厚木から久喜まで、首都高を利用した場合の料金は3180円、圏央道は3770円で、渋滞する首都高を通った方が安いという矛盾が発生していた。そこで国交省は、来年度から出発地と到着地が同じであれば、どのルートを通っても同一料金としたうえで、普及状況を見ながら都心の混雑状況に応じて周辺道路の料金を引き下げるなどの柔軟な料金設定を行う。割引情報は渋滞情報と同様、画面の地図上に表示されるもようだ。
     今秋からは特車通行許可の緩和が行われる。これまでは輸送経路ごとの申請、2年に一度の更新が必要であった。今回の緩和措置では、ETC2.0搭載の車両が、すでに道路の老朽化対策が済んでいる「大型車誘導区間」を通行する場合に、複数経路の申請を一本化するとともに、更新手続きを自動化するというもの。水野道路計画調整官によれば「区間外の道路については従来通りの申請が必要」だが、「大型車誘導区間の通行許可は3日程度で下りる」ため、手続きに手間をかけずに済みそうだ。
     また、同時期にトラック運行管理サービスの試行を予定している。リアルタイムな位置情報で正確な到着時刻を予測することで荷待ち時間の短縮につながり、急ブレーキの多い地点などトラック運転の危険箇所をピンポイントで特定できるので、ドライバーの安全教育に活用できるという。水野道路計画調整官は「大型車だけでなく、中型・小型車にも利用メリットを感じてもらえるような仕組みとしていきたい」と話す。
     サービスの利用には、車載器がITSスポットに対応している必要がある。車載器には、「初期型」「DSRC型」、そして今年8月発売の「ETC2.0対応型」の3種類がある。DSRC型の車載器は、ETC2.0と基本的な性能は同じで、再セットアップをすれば使用できるが、初期型はITSスポットに非対応のため買い替えが必要だ。国交省はETC2.0普及促進に向け、今後、車載器の購入助成や料金の優遇措置を検討している。「現行のETC割引料金はこれまで通り行い、それに併せて様々な割引を展開する予定。初期型の場合は助成制度などを活用してほしい」と水野道路計画調整官は話している。
     ETC2.0を活用した新サービスは始まったばかり。「運用する中で新たな使い道が見つかるかもしれない。業界関係者の方からアイデアがあれば、それに対応して進化させていく」という。
    ◎関連リンク→ 国土交通省

     
     
     
     

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