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ブログ・野口 誠一
第81回:倒産する人・しない人15か条 就業規則の有無
2004年9月5日
「倒産する人・しない人15か条」の第4条は、「就業規則の有無」である。
就業規則は会社にとって、国における法律のようなものであろう。にもかかわらず、就業規則を持たない中小企業も少なくない。なかには「10人程度の従業員に就業規則など必要ありませんよ」と一笑に付す経営者もいる。そういう経営者に限って、従業員の遅刻や欠勤、外回り社員の直行や直帰に頭を痛めていたりもする。それでもやっていけるから、潰れもしないから、というのは経営ではない。社員1人ひとりの生産性を高め、それを利益に結びつけていく、それが経営である。そのためにも、社員の士気、規律を高める就業規則は不可欠と言っていい。
残念ながら、人は安きにつきやすい。苦よりも楽を、規律よりも放任を求める。が、それでは自分の能力を高めることも、開花させることもできない。経営者の使命は、社員に給与を払って生活を保証するだけにとどまらない。その社員の能力を開発し、全開させ、達成感と生き甲斐を与える義務がある。今後ますます労働市場が流動化するなかにあって、どこへ転職しても通用する人材に育成する義務がある。
私は常々「就業規則のない会社と社員教育のできない経営者は伸びない」と言っているが、この2つは経営の基本であり、そこを手抜きすれば、たちまち倒産の危機に見舞われる。それはちょうど、文科省が「ゆとり教育」の名のもとに、義務教育の現場へ週休2日制を導入したとたん、生徒の学力低下を招いた現象と相似形である。ゆとりと手抜きは紙一重と言っていい。
規則と教育を怠れば、社員・従業員は放縦に流れ、それがやがて得意先、消費者、社会への迷惑を及ぼしかねないことも、経営者は肝に銘ずべきであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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