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ブログ・小山 雅敬
第163回:社員が辞めない働きやすい運送会社とは
2019年8月20日
【質問】わが社の悩みは社員の退職です。特に、期待していた社員に辞められると大変落ち込みます。わが社では、新規採用より既存社員の退職を防止することのほうが重要だと認識しています。社員が辞めない、働きやすい会社にするポイントを教えてください。
運送業界は現在、深刻な人手不足に陥っていますが、経営相談で全国の運送会社を回っていると、時々「うちは人手不足を感じていません。退職する者もいませんし、おかげさまで新入社員も社員の友呼びで、よく入ってきますから」と話す経営者にお会いします。ほぼ20社に1社ぐらいの間隔で、そのような会社に遭遇します。それでは、社員が辞めない会社、働きやすい会社とは、どのような会社なのか。その回答には「これさえすればよい」という確かな基準があるわけではないですが、多くの運送会社を見てきた経験から、次のような経営管理上の共通ポイントがあると思います。
①職場のルールが明確になっている②不公平感を感じない職場づくりをしている③個人の努力が正当に報酬に反映されている(もしくは反映する仕組みを作っている)④社員を褒める職場風土がある⑤経営者が社員に感謝している⑥あいさつや報告がしっかりできる社員が多い⑦職場の雰囲気を乱す問題行動を起こす社員に対し、厳しく対応している⑧長く勤めると、うれしいご褒美がある⑨社員の家族が応援してくれる⑩会社の将来像を明示している︱︱。以上のポイントは実務的に言うと、次のような経営管理と結びついています。
①就業規則をはじめとする社内規定類や評価制度、教育制度が整備され、社員に明示されている②先輩社員が有利な仕事を独占、または配車係が情実配車を行うなどの不公平な扱いを遮断している③仕事の成果や努力した過程を正しく評価し、賃金などの処遇に反映して、「やってもやらなくても同じ」「勤続と時間だけで賃金が決まる」という悪平等を排している④経営層や管理者が日頃から社員に声がけを行い、「出来たら褒める」を実践。社員は「もっと頑張ろう」と考えている⑤経営者から社員の家族に手紙で感謝を伝えている⑥朝礼や会議などの場で常に「あいさつ」と「報・連・相」の励行を徹底している⑦問題社員の放置により、まじめに取り組む社員が退社する職場環境の悪循環を断ち切る(「悪貨は良貨を駆逐する」)⑧退職金制度を作り、支給対象期間を前倒しする(月例賃金の勤続給は退職阻止の効果なし)⑨社員の家族と連絡を密にする⑩中期経営計画を作り、社内外に明示する。
(コヤマ経営代表 中小企業診断士・日本物流学会会員・小山雅敬)
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筆者紹介
小山 雅敬
コヤマ経営
昭和53年大阪大学経済学部卒業
都市銀行入行。事業調査部、中小企業事業団派遣、シンクタンク業務に従事。
平成4年三井住友海上入社。中堅中小企業を中心に経営アドバイス、セミナー等を多数実施。
中小企業診断士、証券アナリスト、日本物流学会正会員 等資格保有。 -
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