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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(263)5Sへの取り組み
2019年10月14日
1. 職場改善への取り組み事例
⑶職場改善のスタート
①日々の記録から充実する︱︱所長は毎月、必ずドライバーの運転日報をチェックする。車のスピードや時間の使い方、さらに記入方法までチェックし、必ず一言コメントをつける。所長自らも業務日誌を作成する。日々を大切にするポイントとして、日々収支を把握して配車担当者に説明することとしている。毎日5分間のミーティングである。「継続は力なり」で5分間ミーティングを続けている。
②5Sへの取り組み強化︱︱5Sとは整理、整頓、清潔、清掃、しつけのことである。職場の問題点であるところの「あいさつができていない」「掃除ができていない」「コミュニケーションが悪い」これらを解決していくキメ手は5Sの実践にある。具体的には5Sチェックリストを作成して小集団活動(職場ミーティング)の中で実践している。職場ミーティングの出席率を高める工夫をすることで、5Sチェックの職場ミーティングを充実させている。参加をうながす工夫として、職場ミーティングの出席者には1回2000円を支給している。
③職場改善提案書の活用︱︱職場改善提案書をA所長は活用する。考働するドライバー育成が目的である。導入当初はブーイングの嵐である。「字を書きたくない、書くことが好きではないよ」「ハンドルを握ることが仕事なのに、色んなことを考えられないよ」。ブーイング、反発に対してA所長は立ち向かっていった。いい提案で効果が上がれば、社長と掛け合って社長賞を出すことにした。粘り強く職場改善提案書の提出を働きかける。職場の中で、どのようなことでもいいから問題点を見つけ出す。どうしたらいいか提案する。こうしたプロセスによって考働するドライバーを育成していく。例えばトイレが汚いという問題点がある。トイレの掃除に対してチームを作り、ローテーションで掃除する。効果はどうか。有形効果としては、今まで外部業者に頼んでいた掃除を自分たちですることで、その分のコストを削減する。無形効果としては、チームワークで取り組むことで職場の空気が明るくなってくる。
④損害賠償規定の活用︱︱職場改善提案書の中で採用されたもので、損害賠償規定がある。
事故、クレームをなくすために歯止め策として提案された。上からの押しつけではなく、ドライバーからの提案という所に味がある。A営業所では従来、どのような事故、クレームでも1件3000円というルールがあるのみであった。ドライバーにしてみれば、どんな金額の事故、クレームでも1件3000円なので、ありがたい反面、内心不満でもあった。「やはり事故、クレームの程度によって差をつけるべきだ」。そこで損害賠償規定である。損害負担の上限は20万円とし、損害金の査定は状況をよく調査して会社が決定することとしている。
A所長の職場改善の努力は続く。「これでいいということはありません」。一歩一歩である。「やり抜くぞ」との執念を持って逃げずに立ち向かっている。以上。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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