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ブログ・高橋 聡
第164回:働き方改革への対応(年次有給休暇5日義務化(4))
2019年12月24日
今年から働き方改革関連法が施行されています(【図1】)。そこで、働き方改革関連法への対応というテーマで法改正への具体的な対応策について解説してまいります。
今回は前回に続き、(年次有給休暇年5日義務化)への対応について説明します。
有給休暇5日取得義務化に伴い、「有給休暇取得管理簿」の作成が義務付けられています。各人ごとに有給休暇残日数が何日あり、何日付与したかについて管理・記録することが必要です。簡易な方法としては、給与台帳(月次の給与額、控除額、出勤日数、時間外時間数などを一覧表にしたもの)に各人ごとの「有休取得日数・残日数」を追記する手法です。
また、エクセルなどの表計算ソフトを使用し「有給休暇管理簿」を作成し、付与基準日、半日単位の休暇付与、時間単位での付与(時間単位での有給休暇付与は5日間の消化義務化の対象にはならないので注意が必要です)、請求に対する「承認」もしくは「時季変更」などの事項全般を管理・記録することも有効です。
なお、5日付与義務化に関し、現行の就業規則に定められている「特別休暇(忌引き休暇など)」の消化を5日の日数に含めることや、所定休日を有給休暇に振り替えることは、有給休暇取得の趣旨に反することとなり認められませんので注意が必要です。有給休暇は「労働日」に取得することが原則となります。
また、パート労働者で有給休暇の比例付与(正社員の一定割合で休暇付与される場合)の対象となる方についても10日以上の付与となるパート労働者については5日取得義務の対象となります。
これまで運送会社では業種の特性上、有給休暇を労働基準法の趣旨通りに運用している会社が少なかったと思います。ただ、最近では働く側の意識も変化してきていますし、異業種からの転職者など求職活動の際に休暇取得に関心を持つ方も増えてきました。人材確保の観点からも適正な運用が求められます。なお、仮に「休暇は不要」ということで休まないドライバーがいたとしても5日未取得の場合は指導、罰則の対象となるため注意が必要です。
今後、労働基準監督署などの調査の際は休暇取得状況や管理簿の作成状況、労使協定の締結状況を確認されることが想定されます。対策が遅れている企業につきましては、まずは、管理簿を整備しドライバーごとの取得日数を把握することから始めてください。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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