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ブログ・高橋 久美子
第25回:減車を申し出て利益をもたらす
2010年3月3日
さて、前回は「新規客」よりも「既存客」にアプローチする方が、契約までのコストが圧倒的に抑えられるというお話をしました。それでは「既存客」に、実際にどんなアプローチをしていくのか?これから具体的にご説明していきます。
「既存客」は更に2種類に分けられます。「現在、あなたの会社と取引している会社」と、「過去に、あなたの会社と取引したことのある会社」です。どちらが契約までのハードルが低いでしょう。もちろん「現在、あなたの会社と取引している会社」ですよね。この会社とは、信頼関係ができているのですから、他に提供できる仕事がないか?まずは積極的に聞いてみてください。
「でも、高橋さん、うちの取引先では荷物がなくて、新しい仕事どころじゃない。反対に減車されてるくらいだよ!」と、おっしゃる方もいるかもしれませんね。そういう方は、今からする話を、ぜひ真剣に聞いてください。
あなたがおっしゃるとおり、「現実に、荷物自体が少なくなっている」という荷主に、今、増便の話をしてもどうにもなりません。この荷主は、今は自社の売上の事を考えるのに精一杯です。
実は、あなたの会社の取引先が、こういった苦しい状況にあるとしたら、チャンスです。あなたの会社が、これから売上を伸ばすための強烈な方法をお話します。
物流のプロであるあなたから、この荷主に提案できることがないか、真剣に考えてあげてみてください。どういう事か、少し説明しますね。例えば、「この便とあの便を一緒にすれば、トラック1台でまわせるな」とか、「荷積みの時間をずらせれば、一便で済むのに」など、物流の効率化を提案できるところはありませんか?物流のプロのあなたが、真剣に見渡してみると、必ず無駄な部分を見つけることができるはずです。こうして今3台で走っているところを2台に減らし、物流コストを抑えてあげる提案をします。そのかわり1台あたりの運賃は、今より少し高い運賃になります。
つまり、あなたの方から「減車」を申し出るのです。苦しい所にしがみついているよりも、減車した1台は別の荷主に提供したほうが、あなたの会社にとっても、はるかに利益になります。
実際に、この方法を実践した運送会社は「本当に荷主の利益を考えてくれる運送会社」として荷主から絶大な信頼を得ています。また、値下げ交渉の末の安い仕事にしがみついていたときよりも、一便あたりの単価を上げることができたので、実際の会社の売上も利益もアップしました。
実は、荷主の信頼を勝ち取るには、荷主が苦しんでいる今が、チャンスなのです。あなたの周りに、この時代に「減車」を申し出るライバルはいないでしょう。ぜひ、自分から「減車」を申し出る運送会社になって、荷主にも自分の会社にも利益をもたらしてください。
全国中小規模運送会社・経営改善推進委員会代表 高橋久美子
http://www.handlecover.com/kaizen/この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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