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ブログ・馬場 栄
第154回:給与体系変更の留意点(2)モチベーション
2019年7月19日
前回に引き続き、給与を変更する際に検討すべき事項や留意点、必要な手続きや実務上の注意点について紹介していきます。給与体系を変更する場合に検討すべき事項には、表に記載したおおむね5つの観点【図①】が必要となります。その中でも今回は「モチベーション」について説明します。
モチベーションとは、ドライバーの働く意欲を意味します。ドライバーの給与体系を検討する際、考慮すべき観点と言えるでしょう。不公平な給与制度を続けていると、ドライバーから不平・不満の声が出て、他のドライバーに伝染し、社内が行き詰まった雰囲気になることもあります。ドライバー不足の状況で、このような不満の声が顕在化すると事態はかなり深刻です。不満を持ち始めていても声には出ていない段階のうちに、対策を講じる必要があります。
もちろん、モチベーションは給与体系にのみ左右されるわけではなく、社内でのコミュニケーションや雰囲気にも影響を受けます。ここで難しいのは、モチベーションは多様化してきているということです。年齢層により会社に求めるものは異なります。個人差もありますが、おおむね若手層のドライバーには「歩合給重視」と「固定給重視」が混在し、将来像をイメージできる給与体系が意欲を引き出します。中年齢層は「歩合給重視」、高年齢層は「安定感・固定給重視」の傾向があります。なお、若手層は両親(特に母親)、中高年齢層は配偶者の影響を強く受けます。親の視点で教育・研修制度を、配偶者視点で安全・健康・福利厚生制度を検討することは、ドライバーの定着率向上に寄与します。
最近は給与体系を若年層と中高年齢層とで分ける会社が増えています。同じ年齢層でも仕事観・価値観が異なるので、事前に給与制度の要望を聞き取り、歩合重視型か安定型かを選択できるようにしている会社もあります。一人ひとり異なるモチベーションに対して、どのような給与体系を検討するかは重要ですが、大切なのは会社の経営理念であり、社長の考えです。
次回は、給与制度で重要な「コンプライアンス(法令順守)」について説明していきます。
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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