-
ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(408)成果を配分するシステムをもつ―1
2023年2月9日
ある工場の改善例
印刷工場のサックマシンという作業現場でのケースを紹介する。人数は10人、男1女9の割合である。男性は係長で、女性は正社員5人、パート4人となっている。
この職場の悩みは、パートと正社員との間がしっくりせず、チームワークが悪い点であった。
男の係長は、「女を扱うのは難しい」とぼやき、なす術を知らなかった。しかもこの係長は正社員の女性を大事にし、パートについては「おばさんばかりや、文句ばっかり言う」と敬遠していた。
従って職場の空気は暗く、お互いに顔を見合わせてもあいさつも無く、淀んでいた。
工場で小集団活動を展開しても、この職場はちっとも前に進まない。何故ならせっかくミーティングをしても、誰も発言をしないからである。業を煮やした工場長は、係長を呼んで事情を聞いた。
「君のところは、どうして小集団活動が前へ進まないのか」
「ミーティングをしても誰も発言しないからですよ」
「どうしてそういう雰囲気になっているのか、君のやり方に問題はないのか」
「工場長、私は一生懸命やってます。パートのおばさん連中は全くやる気がないです。私の力ではどうすることもできません」
「君は、パートと正社員の扱いで差別しているのではないか」
「正社員は若いですから、よく動きます。パートは動きが鈍いです。だからどうしてもパートを怒鳴り上げています。それがいけないんですか」
工場長と係長の話し合いは噛み合ってこなかった。実は工場長はパート5人から直訴を受けていた。
「毎日怒鳴り上げられて、悔しいです。若い子ばかり大事にしてあの係長にはついていけません。係長のやり方を直して下さい。でなければ、私ら辞めさせてもらいます」
困り果てた工場長は、私に相談した。私はその工場で小集団活動を指導していた。この職場の問題点は何か、10人全員にインタビューした。その結果は次の通りである。
⑴係長が1人よがりで俺が正しいと突っ張り、人の意見を聞かず、しかもパートと正社員について対応に差をつける。
⑵パートと正社員の仕事内容は同一であるが、給与を始めとして待遇に大きな開きがある。
⑶仕事の中で作業方法を工夫したり改善したりする喜びを味わわせていない。
係長を配転するぐらいでは問題は解決しない。抜本的な原因は〝成果を配分するシステム〟がない点である。 (つづく)
関連記事
-
-
-
-
筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
「ブログ・川﨑 依邦」の 月別記事一覧
-
「ブログ・川﨑 依邦」の新着記事
-
物流メルマガ