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ブログ・野口 誠一
第51回;倒産防止第1条・確固たる信念を持つ
2004年6月8日
倒産防止15か条の第1条は、経営者が「他人の言に左右されず、自分自身の確固たる信念を持つ」ことである。このことがいかに重要であるかは、先のバブルを思い起こすだけで十分であろう。あのバブル時、日本株式会社はいっせいに不動産業に転じた。なぜか。モノを作ったり売ったりするより、土地を転がしたほうが儲かると踏んだからである。そこで建設・不動産はもとより、流通業や製造業までが土地投機に走り、そこへ銀行が湯水の如く資金を貸し付けた。が、バブルははじけた。後に残ったのは乱開発の爪痕と環境破壊、そして不良債権の山である。この過程で、土地や株に走った多くの中小企業が、本業は黒字にもかかわらずバタバタと潰れていった。
なぜこうしたバカバカしいことが起きたかといえば、経営者が「土地は儲かる」という他人の言に左右されたからである。なぜ左右されたかと言えば、「儲かりさえすれば何でもいい」という欲に目が眩んだからである。なぜ眩んだかと言えば、本業をもって社会と消費者に資するという信念に欠けていたからである。そして墓穴を掘った。
「鹿を追う者は山を見ず」と言う。土地転がしという欲の鹿を追いかけすぎて、ついにバブルの山に迷い込み、野垂れ死んだ中小企業は数え切れない。一方、図体がでかいばっかりに、いまだに死にきれずにのたうちまわっているゼネコン、銀行も少なくない。しかし、追い貸しや債権放棄でしか生き残れないゼネコンや、公的資金の注入やなりふりかまわぬ増資でしか生き残れない銀行には、早々に市場から退場してもらわないと、需給ギャップに苦しむ日本経済に明るさは戻らない。
大企業、中小企業にかかわらず、経営者がこの15か条の第1条を忘れたとき、その先に待つのは倒産である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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