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ブログ・野口 誠一
第56回:倒産防止第6条・家庭円満
2004年6月23日
「再起の条件15カ条」の第6条は、「家庭円満」である。私はよく「倒産を恐れよ。されど、倒産しても恐れるな」と言ったり書いたりしているが、これは矛盾しない。「倒産を恐れよ」というのは、倒産をきっかけに離婚や一家離散、自殺や一家心中などの悲劇が起きやすいからである。倒産件数と自殺件数が比例することは、バブル崩壊後の「失われた十年」で証明されたことでもある。
しかし、倒産はあくまでも経営上の失敗であって、人生すべての失敗ではない。離婚や自殺が伴うこと自体、とんでもないことと言っていい。法律にのっとって立ち上げた会社が倒産したら、法律にのっとって整理するだけのことである。むろん社員や取引先、債権者等に対する道義的責任は免れないが、犯罪ではない。法律は「死んで詫びろ」とか「一生かけて借金を返せ」とは言っていない。倒産者にも人権はある。ゼロはやむを得ないとしても、マイナスを背負わされることはない。「倒産しても恐れるな」とはそのことである。
結局、倒産を「すべての終わり」と捉えるか、その意識・意欲の差であろう。八起会は「失敗は恥ではない。真の恥はそこから再出発できないことである」をモットーに、再起を目指して修行に励む道場である。この道場から多くの卒業生が再起して行った。見事に元の経営者返り咲いて行った。が、留年組も少なくない。その差はどこからくるかと言えば、家庭が円満か否かが実に大きい。離婚したり家族がバラバラのケースでは、どうしても再起が遅れる。逆に家族の支えや協力があれば再起も速い。昨年。一年をかけて再起者十人に体験発表をしてもらったが、そのうち倒産がきっかけで離婚に至ったケースはわずか一件にすぎなかった。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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