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ブログ・野口 誠一
第58回:倒産防止第8条・時間とお金を大切に
2004年6月29日
「再起の条件15か条」の第8条は、「時間とお金を大切に」である。お金がない貧乏のほかにもう一つ、時間がない「時間貧乏」がある。日本人は経営者もサラリーマンも、大抵この時間貧乏である。というより、時間貧乏が好きな国民だと言ったほうが正しいかもしれない。その証拠に、だれもがあいさつのように「忙しい」を連発する。が、その実態はと言えば、一日中「こまねずみ」のように働かなければ追いつかないような仕事量でないことは、だれもが知っている。要するに、だらだらとめりはりもなく仕事を続け、忙しがっているにすぎない。
この習性を、外国のビジネスマンは笑っている。彼らにとって「忙しい」を口にすることは、仕事をこなせない無能を意味し、恥ずかしいことだからである。決まった量の仕事を決まった時間内に、あるいは早く終わらせ、あとの余暇を楽しむと言うのが有能なビジネスマンの証明だからである。そういう彼らの目から見れば、日本人は「忙しい」に見合った働きをしているというよりも、仕事の段取りがヘタ、時間管理がヘタと映っても仕方がない。
むろん、ビジネスマンにもお国柄があり、どちらの考え方が正しいというものではない。ただ、「忙しい」と言わないと一生懸命働いているように思われないビジネス文化は、いささか問題であろう。「忙」の字は「心が亡ぶ」という意味であり、のんべんだらりと「忙しい」ようでは、とても新しい発想や創造は覚束ない。事実、「忙しい」を連発する経営者ほど不振、倒産を招く傾向にある。私がよく「忙しい社長ほど危ない」と言うのもそのことにほかならない。お金の貧乏は融資や投資など、打開の道を外部に求めることもできるが、時間貧乏の打開だけは経営者の内部に求めるしかない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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