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ブログ・野口 誠一
第61回:倒産防止第11条・感謝の心を持つ
2004年7月7日
「再起の条件15か条」の第11条は「感謝の心を持つ」である。この感謝という言葉は、多用される割には内実が伴いにくい。どこの会社の社是・社訓にも、感謝の二文字は入っていると思うが、誰に、何を、どのように感謝すべきかは明確と言いがたい。
実は、わが八起会にも「八起五則」があって、その一つに感謝が入っている。では、私たちの感謝の対象は何かと言えば、いささか宗教的に響くかもしれないが、「この世のすべての人と物」である。
たとえば、わが会員のなかには知人にだまされたり、友人に裏切られて倒産を余儀なくされた人たちも少なくない。当然ながら彼らはその知人、友人を恨む。が、それでは再起が覚束ない。「だました知人、裏切った友人にも感謝しなさい」というのが八起道場のドグマ(教義)である。なぜなら、そうした知人、友人こそ、自分がだまされやすい体質であることを教えてくれた恩人だからである。これはなかなかできることではないが、恨みが消えれば愚痴がなくなり、愚痴がなくなれば感謝の心が芽生え、そこから再起の道が開けていくからである。
経営者にとって最大の感謝の対象は消費者であろう。儲けさせてくれるのだから当然である。しかし、儲からなくなったらもっと感謝しなければならない。それは「おたくの商品は役割を終えたよ」という消費者のシグナルだからである。さらに感謝すべきは消費者のクレームである。そこには改善、改良、さらには新商品開発のヒントがふんだんにちりばめられているからである。この貴重な消費者のクレーム情報を無視、軽視して、経営危機に陥ったのが三菱自動車である。消費者に見放されたら、大企業といえども市場から消えていかざるを得ない。もって他山の石とすべきであろう。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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