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ブログ・野口 誠一
第62回:倒産防止第12条・奉仕の精神を持つ
2004年7月10日
「再起の条件15か条」の第12条は「奉仕の精神を持つ」である。
人生は成功によって輝く。が、それは半面の輝きにすぎない。もう半面の「世のため人のために何をしたか」……そこが輝かなければ充実した人生とは言いがたい。経営も同様である。業容を拡大した、シェアを伸ばした、本社ビルを建てた、上場を果たした……それだけでは単なる成功止まりである。
私は常々「経営の目的は還元なり」と言っているが、企業活動の成果を社員へ、株主へ、消費者へ、そして社会へ還元していくのが経営の最終目的である。この還元ができない限り、良き企業市民とは言えない。そのためには、経営の根幹に奉仕の精神が根付いていなければならない。
よく「儲かったら奉仕でも貢献でも何でもしますよ」という経営者がいるが、これはウソ。儲かれば儲かったで税金を払うのが惜しくなり、ケチケチ節税したり脱税したり、あるいはせいぜい福祉団体あたりに寄付して、感謝状をもらうのが関の山であろう。儲かったら、利益があれば、というレバタラは、経営の根幹に奉仕の精神が根付いていない証拠である。一代で渋沢財閥を築いた渋沢栄一は「余りあるを待って人を救わんとするは、ついに人を救う日なし」と言っている。
大手スーパー・イオンには「1%グラフ」がある。これは同グループの税引前利益の一%を社会貢献にまわすシステムである。その活動は環境保全、国際交流、地域振興など多岐にわたるが。そのレバタラでない恒常的な貢献に価値がある。奉仕の精神が根付いた経営とは、こういうことを言う。「スー」と出て「パー」と消えていくスーパー業界のなかにあって、三重県の一地方の岡田屋からジャスコ、イオンと発展できたのも、ゆえのないことではない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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