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ブログ・高橋 聡
第188回:令和時代の運送業経営 ドライバー採用・定着編(2)
2020年12月24日
「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルスの影響下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
コロナ禍の影響を受けるなか、ドライバー不足の原因は「定着しないこと」と「採用できないこと」に分けることができ、短期離職を防ぐには「指導スキル」のある先輩ドライバーに担当させることが有効であると説明しました。
しかしながら、コストをかけて広告を出し面接し、やっと採用できたと安堵していたら、1週間で退職してしまうといった事例も多く起こっています。
地場運行の場合、異業種からの転職者を採用することも増えているようです。このような運送会社以外の会社から転職してきた者に対しては対応に注意が必要です。
現状、ドライバーは大きく2つのタイプに分けられると考えられます。
「草食系ドライバー」は最近増加してきています。異業種やフリーターからの転職者が多く、このタイプのドライバーは面接で有給休暇の事を細かく確認し、休日数や残業時間について意識が高いのが特徴です。給与額にはさほどこだわらず、毎月決まった給与が定期的に支払われるのを望み、安定的な固定給を好み、現場作業は「きつい、汚い」を嫌がります。異業種からの転職者なので「手積み、手下ろし」の内容を理解しないまま仕事につき、「思ったよりきつい」「自分には向いていない」と感じ辞めていくという事例も多いです。このような事態をさけるためにも面接の際に業務や作業の内容をできるだけ詳細に説明しておいたほうがいいでしょう。
ほかのドライバーとのコミュニケーションもあまり好まず、「ゲーム」をやるための「自分の時間」を大切にするようなタイプの方が多いです。数日で会社を辞めることに心理的抵抗感はあまりありません。休暇へのこだわりも強いので有給休暇の対応には注意が必要です。
休日・休暇を巡るトラブルで退職することもこのタイプの特徴です。
基本的には真面目なので指示された事項についてはしっかりとやる意識はあります。しかし指示されていない事項、想定外の事が発生した場合の対応力はあまりありません。
「草食系ドライバー」の指導の際に大切なのは、「合わせる」ということです。例えば一般的に話すスピードや理解のスピードは人それぞれに異なりますので、スピード感を理解することが必要です。話すスピード感を相手に合わせるスキルを「ペーシング」といいます。指導担当社員は、まず自分の話し方のスピードを認識し、研修の際には相手に「合わせる」ペーシングスキルを活用するといいでしょう。異業種からの転職組の先輩社員がいれば適任です。以前も説明しましたが「指導スキル」は「運転・作業スキル」とは異なります。同世代の「指導スキル」のある先輩社員による指導が、短期の離職防止に役立ちます。
「職人系ドライバー」を含めた「ドライバータイプ別」コミュニケーション術については次号以降で説明いたします。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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