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ブログ・高橋 聡
第284回:令和時代の運送業経営 リスク対応編(82)
2025年3月27日
【リスク対応編】82
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も中小運送業における「事業承継リスク対応」に関し解説してまいります。
1.事業承継リスク
中小運送業における「事業承継リスク」には、大きく「後継者難」「納税」「経営承継」リスクがあります。いずれも頻度は低いが経営への影響度の大きいリスクで早い段階での対策が必要です。2.納税リスク
事業承継に伴い会社の支配権を持つために株式を息子などへ移すことが必要になりますが、その場合、承継に伴う株式の譲渡を行う際の「株価対策」と「相続税納税資金対策」が問題になります。数十年間事業を実施してきた場合で継続的に利益を出している場合は相当程度株式の価値が上がります。M&Aではなく親族などによる承継の場合には株式をどのように移していくか、中期的な取り組みが必要になります。
資産税専門の税理士などに相談のうえ実施すると良いでしょう。
数十年間、事業を行ってきた経営者に対し、勇退退職金を支払うことが多いです。「最終報酬月額×在任年数×功労倍率」という税務上の限度額により目安となる金額が算定されるのが一般的です。
退職金を支払うことで純資産が減少し株価を下げ譲渡をしやすくすることとなります。
また、グループ会社を再編しグループ内の不動産および株式を保有する持ち株会社(ホールディングスカンパニー)を設立しその傘下に事業会社を持ち、新経営者は持ち株会社の株式を保有する方式をとる方法があります(再編方法、評価方法等の詳細な解説は専門外のため省略します)。
株式の買取資金や退職金積み立てには「生命保険」が活用されます。中長期的に積み立てを行い税務上の問題や資金準備を行っていく必要があります。
また、「事業承継税制」を活用し相続税の納税の「猶予」あるいは「免除」してもらうことが可能です。2027年12月迄の期間限定で「事業承継税制」が大幅に拡充されています。しかしながら制度、仕組みが複雑であるためこちらについても事業承継税制に精通した税理士など専門家のサポートを受けながら実施したほうが良いでしょう。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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