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ブログ・高橋 聡
第162回:働き方改革への対応(年次有給休暇5日義務化(2))
2019年11月26日
今年から働き方改革関連法が施行されています(【図1】)。そこで、働き方改革関連法への対応というテーマで法改正への具体的な対応策について解説してまいります。
今回は前回に続き、(年次有給休暇年5日義務化)への対応について説明します。
前回、有給休暇付与に関し、運送業の「実態」を踏まえること、「会社方針」「理念」等に従って対応していく必要があることを説明いたしました。
弊社のお客様では連続5日(土日を合わせると9連休)の休暇取得を推奨している運送会社があります。このように法律上の義務化への対応を前向きに捉え、福利厚生や求人対策として活用している事例もあります。
ドライバー職に関心を持つ若年層は「休暇」が実際に取得できるのかということに注目しています。働き方改革という中で自社のスタンスを明確にし、社員や求職者にニーズに対応していくことが求められます。
さて、今回、5日義務化の法改正に伴い「使用者からの時季指定」が可能となっていることも注目すべきです。「使用者側からの時季指定」方式には2通りあり、A「計画年休方式」とB「使用者による時季指定」です。
A「計画年休方式」は以前、制度化されていた手法で、例えば、部門、グループ、個人単位で休暇を計画化する方式です。夏季休暇や年末年始などにグループや荷主ごとに休暇取得な可能な会社に馴染む方式です。「計画年休方式」の労使協定を締結しておく必要があります。
今年から認められた方式としてはB「使用者により時季指定」です。これは、社員側の意見を聴取したうえで、「荷物があまりない日」「急な変更により業務が暇になった日」といった日を「有給休暇」と使用者側が指定する手法で、運送業の実態に合ったものと考えます。
B「使用者による時季指定」を実施する際に「就業規則へ記載」することが必要となります。この方式は、A「計画年休方式」と併用可能であるため、就業規則の見直しは必須となります。
なお、有給休暇取得5日義務化の対象者は「年10日以上有給休暇を保有する」社員となります。このため、入社後6か月経過していない社員などは対象から除外されます。(10日取得した日から1年以内に5日取得することが義務付けられます)
10日以上保有する社員であれば、バイト、パートなどの「有期雇用者」も対象となるので注意が必要です。2019年4月改正施行のため、2020年3月までの罰則適用は考えにくいですが、労基署の「是正勧告の対象」になることは想定されます。使用者側からの時季指定方式について、「計画年休方式」「使用者による時季指定方式」の導入をお勧めいたします。
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筆者紹介
高橋 聡
保険サービスシステム社会保険労務士法人
社会保険労務士 中小企業診断士
1500社以上の運送会社からの経営相談・社員研修を実施。
トラック協会、運輸事業協同組合等講演多数。 -
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