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物流ニュース
ドローン物流の動向予測 加速する機体の開発、課題も
2020年5月8日
ドローンが様々な産業で利用される中、物流業界では、一部地域における目視外飛行が実現している。しかし、有人地帯ではいまだ実現していない。
ドローンの独自技術「4D GRAVITY」を開発し、昨年は同技術を生かした新たなエアモビリティ「空飛ぶゴンドラ」を発表したエアロネクスト(東京都渋谷区)の田路圭輔社長は、「ドローン産業は、空の産業革命ロードマップにおけるレベル3を達成するまでになった。着実に進歩しており、ドローン物流の現実味が増すにつれて機体の開発も加速している」と説明。一方で、「商業ベースに乗せられる物流ドローンは、まだ生まれていない」とも。
同氏は、「今後、他の産業で使用されているドローンと同様、物流でも商業ベースを想定した開発が進む」と予測しており、「これからの物流分野におけるドローン開発は、『どのような機体であればペイできるか』という思想が設計に影響を与えるようになるのでは」と分析する。
また、「ドローンを利用した物流ソリューションも発展段階。都市部での利用でもデータの蓄積が行われていないなど、商業化に向けた開発課題もある」と指摘。「ドローン物流に最適な貨物はまだ定まっていない。ソリューションも、まだまだ人々の中に定着していく途中」とし、「商業利用に耐えられる機体の開発、複数のドローンを同一地域で自動制御可能な航空管理システムなどサービスプラットフォームの登場が必要」としている。
なお、同社は今春に物流企業とコラボレーションした上で、物流ドローンの量産を発表予定。同社長は、「当社の重心制御技術は重要度が高く、これからも物流ドローン実現に貢献していく。ドローンと噛み合う物流ソリューションも引き続き募集していく」と話す。
日本UAS産業振興協議会(JUIDA、鈴木真二理事長、同文京区)の千田泰弘副理事長は、「2022年のレベル4実現にむけて順調に準備が続けられている。このまま進めば今年3月末の協議会で採決が諮られ、2021年中の通常国会で審議し、2022年には予定通りロードマップにおけるレベル4、有人地帯における目視外飛行を達成できる見通し」とし、「法整備が完了したあかつきには、安全管理に一日の長がある物流事業者の皆様がドローンの利用者となる可能性が高い。2022年のスタートダッシュに向けて準備を進めていただきたい」としている。
同氏によれば、「今後はドローンの個別審査無しで目視外飛行が可能となるよう審議が行われる見通し」で、「トラックの車検同様、ドローンにも耐空証明など安全性を担保する検査基準が設けられる」とのこと。「ドローンの個別ID発効は、そのさきがけではないか」としている。「運転免許のように、物流ドローンに適した独自の使用者ライセンスが登場する可能性もある」とも。
機体開発について同氏は、「宅配向けではなく、BtoBの輸送に適したドローン・動力の開発に注目が集まっている」と指摘する。「現行のリチウムイオンバッテリーの機体では、産業ベースに耐えるペイロードを実現することは困難。電力と灯油などの燃料のパワーを掛け合わせたハイブリッドエンジンを駆使した機体の開発が進んでいる」という。
同氏は、「新型コロナウイルスの影響で延期になった『ジャパンドローン』では、航行時間30分、重量30kgを可能とする大型モデルが展示される予定もあった。海外でも大型機の開発が進んでおり、中には日本企業が独占取扱権を取得し販売するようになったものもある。法整備と併せ、大型ドローンの普及によってソリューションにも一層の展開加速が期待できるのでは」と話す。
なお、同氏はドローン用エンジンの開発が可能な国の一つに日本を挙げながら、「難易度が高く簡単に他国が参入できるものではない」とし「日本国内におけるドローン産業の発展は、国内の製造分野でも新たな産業をもたらす可能性が大きい。日本国内の航空産業を活性化させるためにもドローン物流実現に力を尽くしたい」としている。
◎関連リンク→ 株式会社エアロネクスト
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