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物流ニュース
東亜物流 承継公募によるM&A実施へ、持続的な堅実な成長目指す
2020年5月29日
運送業界は、後継者問題や人材不足といった課題を抱えている。業界を取り巻く経営環境が悪化するなか、事業の継続に必要な経営戦略の一つとしてM&Aが注目を集めている。
そんななか、事業を譲りたい経営者のための新しい形のM&Aサービス「ビズリーチ・サクシード」で、首都圏を中心に総合物流サービスを展開している東亜物流(森本勝也社長=写真右、東京都江戸川区)が物流業界で初めて公募を行う。公募は6月16日までを予定。
東亜物流では、生産性の向上を図る上で必要な価格交渉力を得るための企業規模にしていくことと、人材の確保のためにM&Aを実施していきたいと考えている。森本社長は「運送業界はこれまで、規制緩和で事業者が多くなりすぎた」としながらも、「今では新規参入が厳しくなり、5台以下の事業者が事業承継できないなどで、M&Aが注目される状況になっている」とみている。
このような状況を踏まえて同社では、生産性向上や人材確保という目的だけでなく、そうした事業者の受け皿としてもM&Aを実施し、グループ化を進めていきたい考えだ。
経営者にとってM&Aは、イメージ的に取っ掛かりにくく、二の足を踏んでしまう人も多い。けれども、成功例が増えることでその動きも加速していくと思われる。M&Aを進めていく上で森本社長は、「ある程度の規模を確保していきたいが、いたずらに規模を拡大するということではなく、持続的で堅実な成長を目指すための成長戦略の一つとして実施したい」としている。
また、M&Aを実施するうえで、双方が納得する形でないとM&Aを行う意味が無くなってしまう。今回、東亜物流が参画した「承継公募」サービスでは、このような問題が起こりにくくなると思われる。
M&Aにも様々なサービスがあるが、手数料が高く、事業を譲りたい経営者は相談自体をあきらめるというパターンも出ているという。M&Aプラットフォームは、譲渡側は無料のサービスがあるので、手数料は一切かからないため、潜在的にM&Aを望んでいる譲渡企業で検討したいという会社が集まると思われる。
一方、譲り受け企業にも「承継公募」は、これまでのM&Aプラットフォームにはない使いやすさがある。森本社長は「譲り受ける側である弊社の情報を公開することで、弊社に賛同してくれた会社との話がまとまりやすいのではないか」と、承継公募に参画した理由を話す。
さらに、「今は、新型コロナウイルスで大変な時期だが、収まったら運送業界でM&Aが加速的に進んでいくのではないか。興味を持った方は応募いただきたい」とした。
「承継公募」サービスを担当しているビジョナル・インキュベーション(永田信社長、同渋谷区)事業承継M&A事業部の前田洋平部長(同左)は「譲り受け企業のM&A戦略、経営や事業に対する価値観を把握することができ、納得したうえで会社を譲渡することができるのが大きな特徴」と説明する。
◎関連リンク→ 東亜物流株式会社
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