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物流ニュース
OCHIS SASスクリーニング検査の重要性訴える
2021年10月8日
トラックドライバーにとって睡眠の質は、業務の質を左右する重要なカギを握る。何よりも社員の命を守り、健康起因事故を減らすためには、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のスクリーニング検査がやはり欠かせない。SASは自分ではわからないケースも多いため、NASVAの問診やESSテストだけで済ませるのではなく、医療機器を使って検査する必要がある。
運輸関係者の安全と健康を支援するヘルスケアネットワーク(OCHIS)は、2020年度SAS検査の実績調査概要を発表した。今回、発表した資料によると、トラック関係者のSAS検査実施者数は8262人(男性:7940人、女性:322人)で、実施者の平均年齢は46.5歳。パルスオキシメータの結果によると、実施者のうち2861人(34.7%)が精密検査の対象(D・D+判定)になった。またD判定者のうち、重症とされるD+判定者は558人で全体の6.8%だった。
バス・タクシー・トラックで精密検査を受けた757人のうち、687人(90.8%)がSASの確定診断を受けており、CPAPでの治療が必要と診断されたのは、757人のうち374人(49.4%)。疑SAS者757人の重症度は、重症が最も多く34.1%、中等症が27.7%だった。トラック関係者の結果に目を向けると、体格指数(BMI)が25以上の肥満者の割合は、8252人(全対象者から年代不明者10人を除く)中、2929人(35.5%)だった。40代以上の肥満者では、各年代のD・D+判定者は50%を上回り、肥満および加齢に伴い有所見率は上昇している。
D判定者の割合はBMI25未満が23.4%、BMI25以上30未満が48.9%と非肥満者の2倍以上となり、BMI30以上では73.4%(非肥満者の3倍以上)と急増するうえに、D+判定者の割合もBMI30以上はBMI25未満の12.6倍と高い。
さらに、昼間の眠りに関する自覚症状からSASの可能性を調べる「ESSテスト」と、D判定者数の関係性を示すデータでは、自覚症状の有無にかかわらずどちらも約35%で有所見がみられた。眠気の自覚症状の有無と判定結果には、ほとんど相関関係がないことが明らかになっている。
今回の調査でも、ESSテストの回答点数とSAS判定の割合のデータを発表。11点以上が「自己認識によるSASの有所見」と見なされるが、10点以下であっても32.3%の有所見率という結果が得られた。自覚症状があると回答した人の中でのD判定者はわずか2.3%であるため、自覚症状がない人ほどSASのリスクが高いことになる。
SASは、治療をせずに放置すると命にかかわる合併症(高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)を引き起こすおそれもあり、これらの疾病は健康起因事故の主な原因でもある。全日本トラック協会では、「ドライバーに睡眠時無呼吸症候群(SAS)スクリーニング検査を受診させていますか?」リーフレットを作成し、事業者にSASスクリーニング検査の重要性を呼びかけている。
また、OCHISではSAS対策Liveオンラインセミナーを開催し、ドライバーの健康と安全の確保を訴えている。
◎関連リンク→ NPO法人ヘルスケアネットワーク(OCHIS)
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